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 さいたま市中央区の5歳の男の子が2月下旬、旅行先の静岡県河津町でアキアカネとみられるトンボを捕まえた。すぐに逃がしてしまったが、写真を見た専門家は「冬には姿を消すはずなのに、貴重な記録だ」と驚いている。

 幼稚園児の福原直大(なおひろ)君は2月23日、家族で出かけた河津町の動物園の敷地内で、橋の下の暗いところに1匹の褐色のトンボがいることに気づき、手でつかまえた。「驚いたけど、うれしかった」。羽をつまむと、足をばたつかせたので生きていることがわかった。母親の真理さん(37)に写真を撮ってもらった後、放してあげた。

 直大君は昆虫が大好きで、昨年秋からNPO「日本アンリ・ファーブル会」(東京都文京区)の昆虫塾にも所属している。

 「この時期にトンボが生きているのは珍しいのでは」と思った真理さんが、同会などの仲介で「赤とんぼの謎」などの著書がある昆虫研究家の新井裕(ゆたか)さん(71)=埼玉県寄居町=に写真を見せたところ、アカトンボの仲間のアキアカネの可能性が高いことがわかった。新井さんは「目安となる胸部の側面がよく見えないので断定できないが、アキアカネとみるのが妥当」と話す。

 アキアカネは7月ごろまでに羽化し、夏の間は山地など涼しい場所で過ごす習性もあって寒さには比較的強い。暖かい地方ではまれに1月まで生きる例もあるというが、「2月下旬というのは驚異的な遅さで、貴重な記録。記録的な暖冬の影響としか考えられない」と新井さんは言う。

 あのときのトンボが今も生き延びているのかわからないが、真理さんは「息子の好奇心が貴重な発見につながった」と喜んでいる。(米沢信義)