【360度動画】いきもの目線/コアラ@こども動物自然公園=2020年3月13日、竹谷俊之撮影
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 丸っこい体に、つぶらな瞳と大きな鼻。いつものんびりしているイメージの癒やし系動物「コアラ」だが、その実態は――。

 コアラはオーストラリア東海岸沿いに生息する固有種。現在、日本で見られるのは7園。その一つ、「埼玉県こども動物自然公園」(同県東松山市)の協力で3月中旬、360度カメラで撮影をした。

 正門から歩いて約10分。ガラス張りの展示場は樹上生活を再現するように木が組まれ、ユーカリの葉が置かれている。葉に隠れるように寝ているメス4匹と、子ども3匹がいた。同園で、3匹の子どもを同時に見ることができるのは1988年以来。32年ぶりの明るい話題となった。

 一方で、悲しい出来事もあった。昨年6月に生まれた「ふく」の母親ドリーが2月に死んだ。コアラの子どもは母親に抱きついていないと不安に陥る特性がある。現在、ふくの母親役は4匹のメスたちが務めている。飼育員の二場恵美子さんによると、コアラは自分の子どもでなくても近寄ってくれば母乳を与えたり、抱きつかせたりするといい「開放的で気持ちがおおらかなんですね」。

 毎日、午後1時にユーカリの葉の交換がある。飼育員の二場さんとガラス越しでやりとりしながらカメラを設置した。「コアラは嗅覚(きゅうかく)が優れており、ユーカリの葉の匂いを確認して食べます。その日の気分で食べる葉も変わるので、カメラに近づいてくれるか分かりません」と二場さん。

【動画】癒やし系動物「コアラ」を埼玉県こども動物自然公園の担当飼育員が解説=竹谷俊之撮影

 オーストラリアには約700種類以上のユーカリがあり、コアラが食べるのは数十種類。同園や東京・八丈島、静岡、鹿児島などでも栽培し、約20種類の中から季節ごとに厳選して与えている。カメラの近くに、この日の一押しというユーカリを置いてもらった。可愛らしい映像が撮れることを期待していると、見事に的中。5匹のコアラが集まってきた。

 しばらくの間、おとなしくユーカリを食べていたが、のんびりしたコアラのイメージを覆すシーンを目撃する。母親が子どもをおんぶしたまま木々の間をジャンプ。

さらに地面を走ったり、歩いたりと、予想以上に活発に動き回る動物だった。二場さんによると、コアラの脚はそれぞれ5本の指があり力強く、鋭い爪もあるという。母親が子どもを、おんぶや抱っこしているように見えるが、実際は子どもが必死にしがみついているという。

 コアラは、カンガルーと同じ有袋類。夜行性で一日約18~20時間は寝ている。主食のユーカリは栄養価が低く消化も悪いため、寝ることでエネルギーを節約している。繁殖期を迎えたオスの鳴き声は「ゴーゴー」と野太い声で迫力がある(解説動画でご覧ください)。昨秋に発生したオーストラリア南東部の森林火災で、コアラを含め多くの野生動物が犠牲になった。

 現在、同園は新型コロナウイルスの影響で休園している。広報担当によると開園は未定だが、コアラを始め、動物たちは元気に過ごしており、安心して外出できるようになれば動物たちに会いにきて欲しいという。(竹谷俊之)