今夏の開催が延期となった東京オリンピック(五輪)は、来年7月23日の開幕で落ち着いた。再スタートとなった選手たちだが、新型コロナウイルスの感染拡大で練習にさまざまな制約が出ている。緊急事態宣言の影響も大きそうだ。
柔道部が「緊急解散」
密閉、密集、密接――。新型コロナウイルス感染のリスクを高める「3密」から逃れられない競技がある。
柔道は乱取りや打ち込みなど日々の練習で他者と組み合う。様々なタイプの相手を求めて出稽古で鍛えることが多いだけに、多くの実業団や大学が選手の移動を自粛している。
男子100キロ級で五輪代表に内定しているウルフ・アロン(了徳寺大職)は、練習拠点にしている母校の東海大柔道部が3月31日から活動停止になり、「運動できる方法を考えながらの生活」と頭を悩ませている。男子100キロ超級で五輪代表内定の原沢久喜(百五銀行)も母校の日大を拠点とするが、学生の健康と安全を確保するため柔道部は今月12日まで「緊急解散」の状態に。原沢に近い関係者は「他の実業団や大学に受け入れてもらうのは難しい。場所を探して、2人で乱取りや打ち込みをしようと思う」と話す。
レスリングでは4、5月に行われる予定だった代表合宿が中止になった。代表に内定しているOG3選手が練習拠点とする至学館大(愛知)も3月30日からレスリング部の全体活動を止めている。女子68キロ級代表内定の土性沙羅(東新住建)は「マットでの練習ができないので不安はある」。大学内の施設で1人、ウエイトトレーニングなどをしているという。(波戸健一、金子智彦)
苦肉の策、風呂で練習
カヌー・スラロームで東京五輪代表に内定している羽根田卓也(ミキハウス)は自宅の風呂場で練習を続けている。今月初め、水を張った浴槽でパドルを動かす様子を撮影した動画をツイッターなどで公開した。「外で練習ができないので、感触を忘れないように工夫しています」と話す。
本来なら3、4月は五輪コースとなるカヌー・スラロームセンター(東京都江戸川区)で練習できる予定だったが、新型コロナウイルス拡大の影響で中止に。3月10日に豪州合宿から戻ってからは、自宅での筋力トレーニングなど、できることも限られているという。
感染者が急激に増えている都…