安倍晋三首相は7日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に同日夕に出すと発表した。期間は1カ月で、すみやかに公示して発効させる。宣言後、7都府県の知事が住民の外出自粛要請などの措置をとる見込みだ。
首相は7日正午すぎ、衆院議院運営委員会に出席し、宣言の要件に関連して「全国的かつ急速な蔓延(まんえん)により、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生したと判断した」と述べ、宣言の対象となる区域や期間を国会に事前に報告した。
質疑にも応じ、期間を1カ月とした点について「外出自粛の徹底などの取り組み効果を確認するためには潜伏期間などを考慮すると1カ月は必要だ」と語った。立憲民主党の枝野幸男代表は政府の対応の遅れなどを批判しつつ、「本当に1カ月で収束に向かわせられるのか」とただした。首相は参院でも同様の報告をした。夕方に首相官邸で開く政府対策本部で宣言を正式に決め、その後、記者会見で詳しい説明をする。
衆院の議運に先立ち、7日午前に開かれた政府の諮問委員会では、緊急事態宣言案の地域や期間を議論し、妥当との認識が示された。政府は、宣言を出すにあたり、国民の暮らしへの影響を分かりやすく示すために、3月28日に決定した基本的対処方針を見直す方針で、諮問委は改定案も議論した。
政府関係者によると、医療機関への通院や食品の買い物、職場への出勤などを除く不要不急の外出の自粛を徹底するよう国民に求めるほか、公共交通機関をとめるといったロックダウン(都市封鎖)のような措置はとらず、経済社会活動を可能な限り維持することなどを盛り込む方向だ。
菅義偉官房長官は7日午前の閣議後会見で「東京や大阪など都市部を中心に感染者が急増しており、医療現場ではすでに危機的な状況となっていることを踏まえ、(諮問委の尾身茂会長の)意見を踏まえ、7都府県を対象に緊急事態宣言を発出することにした」と述べた。鉄道などの運行については「減便を要請することは考えていないが、人と人との接触を大幅に減らすための有効な対策を専門家の意見を聞き、適切に対応したい」と話した。
特措法に基づく緊急事態宣言は初めて。新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に新型コロナを追加する改正法が3月に成立、施行されていた。感染拡大防止に必要な場合、都道府県知事は、私権制限を含む措置が取れる。医薬品やマスクの保管を命じたのに従わない場合など、一部を除き、罰則はない。また、基本的人権の尊重の点から、私権の制限は「必要最小限のものでなければならない」とも定めている。
また、政府は7日夕、過去最…

新型コロナウイルス最新情報
最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]