拡大する写真・図版「嫁介護」を巡っては、投書も数多く朝日新聞に寄せられている。福井の事件に触れたものも複数あった。

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「村一番の嫁」と家族が自慢していたという70代女性が、夫と義父母を殺害した疑いで逮捕される。福井県敦賀市で昨年11月にそんな事件が起きた(4月3日殺人罪で起訴)。親しい人には「介護がしんどい」ともらしていたという。このニュースを聞いた東京都の女性(81)は「私もたぶん『いい嫁』だったのだろうと思う」と振り返った。10年近い介護の後で、夫と離婚した。

 同居する義母の失禁、単独外出がひどくなったのは1970年代の前半。「恍惚(こうこつ)の人」(有吉佐和子著)がベストセラーになっていたころだ。認知症になった義父の介護に追われる女性を描いた小説を読み、「自分と同じだ」と思ったのを覚えている。

 介護初期は、まだ乳幼児だった長男・長女の布おむつと一緒に、そそうした義母の下着を洗った。幼子の育児と介護が同時にふりかかるダブルケアだった。昼は育児、夜は義母の世話。介護うつになっていてもおかしくなかったと思う。

 当時は介護保険のような公的サービスも相談先もなく、無我夢中だった。子育てと同じく、「自分がやるしかない」と腹をくくっていた。夫はまったく頼りにならなかったし、相談もしなかった。仕方がないことと受け止めていた。

 朝夜問わず1人で外出してしまう状態は数年間続き、片時も目が離せなかった。つらかったのは、自分の便を壁や床にぬりたくってしまうことだ。その後始末を繰り返していたので、子どもの小学校のPTAの会合で「○○さんはいつも消毒液のにおいがする」と言われた。

 介護するなかで義母の尊厳に気…

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