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 内戦が続くシリアの北西部で医療施設などへの相次ぐ攻撃をめぐり、国連は6日、調査委員会の報告書の要旨を公表した。調査対象とした6件の攻撃のうち、5件はアサド政権軍か同盟勢力による空爆などだった可能性が高いと判断した。

 シリア北西部では、アサド政権軍とそれを支援するロシア軍が、反体制派の最後の大規模拠点となっているイドリブ県一帯を包囲し、戦闘が断続的に続いている。調査対象となったのは昨年4~7月に起きた6件の攻撃。残る1件はパレスチナ難民キャンプへの攻撃で、反体制派側の可能性が高いとした。

 シリアでは2014年から、国際人道法で攻撃が禁じられた病院などが標的となることを防ぐため、国連機関が現地の人道支援組織から寄せられる施設の位置情報を関係国に伝える「人道的衝突回避メカニズム」が採用されている。

 報告書によると、政権軍側の攻撃の可能性が高いとされた5件のうち4件の施設の位置情報は、国連機関が事前にアサド政権軍を支えるロシアに伝えていた。調査委員会は「衝突回避の対象だった施設が攻撃され、参加機関に疑念が生まれている」とし、位置情報の通報制度全体を見直す必要があると指摘した。

 人道施設への攻撃が相次ぐ中、位置情報が政権軍側の爆撃に悪用されているとの懸念が高まり、グテーレス事務総長が昨年8月に調査委員会の設置を決めた。政権は軍事作戦の目的を「テロ掃討」と繰り返している。(イスタンブール=其山史晃)