興福寺の放生会、金魚は放流せず 生態系破壊の批判受け
奈良市の世界遺産・興福寺が毎年4月17日、景勝地の猿沢池(さるさわいけ)に金魚を放す伝統行事「放生会(ほうじょうえ)」。今年から寺は金魚の放流を取りやめる。生態系を壊すと批判があるためだ。近畿大学と協力して学術調査し、その際に捕れた魚のうち在来種のみを放流することにする。外来種は近畿大が引き取るという。寺が9日に発表した。
猿沢池は奈良県が管理する奈良の名所の一つで、周囲350メートル。寺によると、放生会は、殺生を戒めるため、捕らえた魚などを放つ宗教行事。寺では戦前から営まれていた記録が残る。
観賞用の金魚の放流は、日本魚類学会が2017年、生態系を壊すと問題視した。SNSでも批判があった。寺は昨年、近畿大農学部の北川忠生准教授に相談。池を調査することを決めた。
県の許可を得て、北川准教授らは今月8日に予備調査した。13日に学生らと本調査し、在来種は17日の放生会で放つ。金魚が捕れた場合も外来種として近畿大が引き取る。池の水は抜かない。
興福寺僧侶の辻明俊(みょうしゅん)さんは「伝統の宗教行事を続けながら、池の環境を悪化させず、100年先、200年先に誇れる猿沢池にしたい」と語る。北川准教授は「放生会は各地で行われている。興福寺の取り組みが各地の放生会の見直しにつながってほしい」と話した。(岡田匠)
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