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スポーツ好奇心

 大リーグ・レイズに所属する筒香嘉智(よしとも)選手(28)の兄、裕史(ひろし)さん(38)が兄弟の地元である和歌山県橋本市で、幼児・小中学生世代を対象に体力向上を主目的としたスポーツアカデミー「Go estudio sports academy」を運営している。筒香はかねて「勝利至上主義」に異を唱えており、裕史さんも「スポーツは楽しい」ということを指導のモットーに据える。

拡大する写真・図版アカデミーで子どもたちと触れあう裕史さん(右から2人目、和歌山県橋本市、筒香裕史さん提供)

 裕史さんのアカデミーで主眼に置くのは球技の技術ではなく、体力の向上だ。マット運動や倒立のほか、鬼ごっこなどの遊びも通じて、あらゆるスポーツに通じる体の強さを養う。「バク転」ができるようになった小学生もおり、登録者数は橋本市や隣接する奈良、大阪から約150人を数える。

 2018年からスタートし、橋本市と連携してスポーツ振興に取り組んでいた縁で、19年1月に筒香の同市スポーツ推進アンバサダー就任にもつながった。

 筒香といえば、長時間練習の弊害やけがの多さなど、少年野球を取り巻く問題について積極的に発言してきた。19年には日本外国特派員協会で記者会見し、「指導者は目先の勝利ではなく、子どもの将来を」といわゆる「勝利至上主義」からの脱却を訴えた。裕史さんは「弟は指導者に対して、僕は子どもに対して直接アプローチしている。子どもたちの将来を見据えている点では共通していますね」と話す。

最後の夏は、応援席から

 裕史さんも野球人だが、人生は波瀾(はらん)万丈だ。甲子園を目指して香川県の強豪・尽誠学園に進んだが「選手としてはたいしたことなかった」。チームは夏の甲子園に2回出場したが、自身は3年春の県大会で背番号17を付けたのを最後に、甲子園では応援席に回った。

 だが、指導者を志すきっかけも高校時代だ。当時の尽誠学園は2学年上に大沼幸二(元西武など)、1学年上に木村昇吾(元広島など)、1学年下に田中浩康(現DeNA2軍コーチ)らスター選手ぞろい。「身体能力が違いすぎる。こういう人がプロに行くんだな」と現実を受け止めた一方、野球の技術では補いきれない体の強さに着目した。「子どもの時から鍛えていればこのレベルに行けるかも」。控え選手として過ごした時間が、ジュニア世代の指導を志す入り口だった。

体育教師時代、訪れた転機

 大学卒業後は一時家業のガソリンスタンドを手伝いながら、当時中学生だった弟の練習をサポート。弟のプロ入りと時を同じくして10年からは横浜市内の中学校で体育教師となったが、転機が訪れたのは15年のこと。知人に誘われて訪れたドミニカ共和国で衝撃を受けた。「中学生くらいでも日本のプロ並みに肩が強い子もいた」が、身体能力の高い子どもたちが整備の行き届いていないグラウンドで、楽しそうに白球を追う姿を目の当たりにした。指導者も長所を伸ばす指導に注力。いかにボールを遠くに飛ばせるか、速い球を投げられるか……。自身が経験した勝ちにこだわる野球ではない「野球の原点」を見たように感じた。

 監督を務めていた野球部の指導…

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