球児の投球数制限、実際の運用は? 沖縄で全国初導入

小俣勇貴
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 今春から高校野球のルールが大きく変わった。「1人1週間500球以内」の投球数制限や、申告故意四球(敬遠)が導入された。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、第92回選抜大会や各地の春季大会が中止になるなか、全国に先駆けて春季沖縄県大会で運用された。

 感染対策のため無観客で開幕した3月25日、1回戦の那覇―北谷。6―5で勝った北谷には、大会本部から1枚の用紙が渡された。富川桂36球、神谷旭飛86球、末吉陽太65球、仲里隆史43球――。登板した全投手の名前と、投球数が手書きされていた。

 投手の「投げすぎ」を防ぐためにルールとして加わった投球数制限。沖縄県高校野球連盟では、日本高野連が準備していた選抜大会での運用方法を参考にした。全試合の投球実績を、県高野連の記録情報部が管理。2回戦以降は試合前のメンバー表交換時に、両チームの過去6日間の投球実績と500球までの残数を記した紙を、両者に渡して確認してもらった。

 登板中の投手の1週間の総投球数が450球前後になったら、大会本部が球審に知らせる運用も実施されることになっていた。感染状況の悪化などを受け、大会は準決勝と決勝が中止されたが、準々決勝までに1週間で450球に達した投手はいなかった。

 選抜大会では、阪神甲子園球場の電光掲示板に登板中の投手の投球数が表示される予定だった。沖縄の3会場では表示がなかった。「ほとんどの球場で球数表示ができない。こちらで管理を徹底しないといけない」と県高野連の又吉忠理事長。投球数を数えるためのカウンターも用意したが、感染症対策として運営を手伝う役員を減らしたため、チェックに専念する係を置けなかった。それでも混乱は特になかったという。

 現場はどう感じたか。3回戦で敗れた北谷の平良栄二監督は「もともと継投を使うチームだったので球数は把握していたけど、紙で確認できるのはありがたい」と受け止めていた。そして「個人的な感覚」と前置きしたうえで「複数投手で戦うチームがぐんと増えた」。一方、1回戦で敗れたある県立高の監督は「初戦はエースに任せた。しっかり投げられる投手が複数いるわけではない」と難しさを口にした。

 投球数制限とともに導入された申告敬遠も、さっそく使われた。那覇―北谷の九回、守る那覇は同点の1死二、三塁の場面で申告敬遠で塁を埋め、この回を無失点で乗り切った。又吉理事長によると、大会では申告敬遠が複数回、使用されたという。(肩書は3月末時点)(小俣勇貴)

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