日産、5千億円規模の融資要請 工場停止や販売急減
日産自動車が大手金融機関に、融資枠(コミットメントライン)の設定分を含めて5千億円規模の融資を求めていることが9日わかった。新型コロナウイルスによる世界的な感染拡大の影響で、世界各地で工場停止や販売急減に見舞われている。感染拡大の収束時期や今後の金融環境が不透明なため、資金面での手当てをはじめた。
関係者によると、日産は主力銀行のみずほ銀行などメガ3行のほか、日本政策投資銀行に融資を要請。一定額まで借りたいときに借りられるコミットメントラインの設定や、災害などで被害を受けた企業に対する政投銀の融資制度「危機対応融資枠」で、当面の資金にめどをつけたい考えだ。要請している支援規模は、5千億円にのぼる。
日産は新型コロナの感染拡大前から、世界の主要地域で販売を落として業績の低下に悩んできた。さらに新型コロナの影響で2月に中国からの部品供給が途絶え、日系大手で最も早くから国内生産を一時停止。3月中旬以降、欧米やアジアでも軒並み工場や販売店がストップしている。
主要市場の中国では、2月の販売台数が前年同月比8割減で、3月も4割超減った。米国では、もともと値引き依存でブランド力が低下していたところに新型コロナが追い打ちをかけ、1~3月の販売が日系で最大となる前年同期比30%マイナスとなった。入ってくるお金が減る一方で、人件費などの固定費の負担は続いており、手元の資金が減っていっている。
ほかの自動車大手も今後に備えて資金の手当てに動いている。トヨタ自動車は、三井住友銀行と三菱UFJ銀行に対して計1兆円の融資枠の設定を求めた。
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