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 医療スタッフの新型コロナウイルス感染で、国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)や慶応大病院(新宿区)が新規の患者の受け入れを停止するなか、がん患者の間に不安が広がっている。今どんな心構えが必要なのか。がん患者を長年診てきた日本医科大武蔵小杉病院(川崎市中原区)の勝俣範之教授(腫瘍〈しゅよう〉内科)に聞いた。

 ――がん患者は新型コロナウイルスに感染すると、重症化のリスクが高いといわれます

 中国の保健当局や世界保健機関(WHO)などがまとめた報告書によると、がん患者は一般の人に比べ約2倍感染しやすいとされ、感染が確認された人のうち亡くなった人の割合(致死率)は7・6%と推計されています。だからといって、がん患者が非常にリスクが高いというわけではない。致死率でいえば、80歳以上(21・9%)が圧倒的に高く、循環器の持病を持つ人(13・2%)や糖尿病(9・2%)、高血圧(8・4%)、慢性呼吸器疾患(8・0%)の方が高い。むやみに恐れる必要はありません。

 ――抗がん剤を使っている人は感染しやすいのでは

 明確な線引きは難しいですが、半年以上使っていると、免疫をつかさどる血液細胞のリンパ球が減ってくることが多く、注意が必要です。血液のがんで、骨髄移植などを受けた人も同様です。人混みを避け、手洗いやマスクの着用を徹底するといった一般の人がやっていることを、それ以上に心がけてください。

 ――感染が確認された病院では、抗がん剤治療のため通院する患者にも、次の受診までの期間が長くなるなど影響が出ています

 もはや「病院や通院で感染する」ということも念頭に置くべきです。手術後、3カ月に1回など経過観察で受診するような場合は、この時期でなく延期することを考えた方がいいでしょう。主治医やかかりつけの医師に相談してみてください。抗がん剤はなかなか難しいですが、内服の薬なら例外的に処方日数を多くしてもらうことも選択肢の一つです。

 ニューヨークの例を見ても明らかなように、今後、仮に新型コロナが首都圏でまんえんするような事態になれば、医療資源の多くは感染した患者の治療に振り向けられることになります。パニックに陥らないためにも、今のうちから、感染拡大地域以外の医療機関での治療も検討しておくことも大事です。これは定期的な通院が不可欠な他の慢性疾患を抱える人についても言えることです。(鈴木淑子)

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 かつまた・のりゆき 1988年富山医科薬科大(現・富山大医学部)卒。国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科外来医長などを経て2011年から現職。