手話や口の動き、表情で言葉を理解する。そんな聴覚障害者や手話通訳者にとって、マスクがコミュニケーションを取りづらくさせている。新型コロナウイルスの感染拡大で、マスクを着用せざるをえない状況が続くなか、さまざまな工夫が求められている。
緊急事態宣言について話す安倍晋三首相、外出自粛を要請する東京都の小池百合子知事。その横で、行政の発表の内容を耳が不自由な人たちに伝える手話通訳者がマスクをしていないことが、たびたび話題になる。
手話は手の動きと同時に表情や口の動きも文法として重要で、例えば口の動きで数字や固有名詞を、あごの動きで肯定か否定かを伝える。手話や聴覚障害者とのコミュニケーションを学ぶ上で、マスクなどで口元を隠さないことは基本とされている。
「東京手話通訳等派遣センター」の江原こう平・事務統括は「会見は一方向で聞き返すことができないため、一度で正確に伝えるためにはマスクはしづらい」と話す。会見の開始直前までマスクを着用するなど、感染予防には気を配っているという。
一方、埼玉県の手話通訳士の女性(52)は「マスクを外して素早く正確に伝えることも大切だが、自分がウイルスの運搬者にならないことも重要」と悩む。手話通訳をする現場は医師の説明を訳すなど医療現場も多く、通訳の依頼者には高齢者もいる。「今はマスクを外さないことがお互いの身を守ることになる」。マスクをして手話通訳をし、伝わりにくいときは、離れてマスクを外して通訳するなど、今まで以上に丁寧な説明を心がけているという。
京都市の法人職員でろう者の…

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