入退院はほとんどが夜、診察はスマートフォン越し、病棟には使用したシーツが山積み――。新型コロナウイルスに感染した患者を受け入れている豊中市立豊中病院(大阪府)が、入院から退院までにとった対策や病院内の実情をまとめた報告書を公表した。「これから対応を余儀なくされる施設にとって、少しでも参考になるものがあれば幸い」としている。
報告書は日本感染症学会のウェブサイト(http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200409_3.pdf)で公表された。
豊中病院は第二種感染症指定医療機関。大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客や、国内で感染した患者らを受け入れている。
報告書によると、肺炎のような呼吸器の病気に対応できる設備はなく、感染症専門医もいないという。院内での感染拡大を防止するためにスマホをフル活用した。クルーズ船の乗客は外国人が多かったため、患者のスマホとナースステーションに置いたタブレット端末で文字でやり取りし、誤訳のリスクを回避。日本人の患者もスマホのビデオ通話機能で診察して接触の機会を減らすことで、不足しがちな防護服の節約につながった。また、病室に入れた書類は、患者が記入した後にスマホで写真を撮って送信してもらい、それを確認したという。
ウイルス検査に必要なサンプルを取る際は、患者の鼻に綿棒を入れるが、刺激でせきなどが出ることが多い。患者にマスクをしてもらい、口を覆って鼻だけを出してもらうことで、飛沫(ひまつ)による感染の防止を図った。
家族は患者に面会はできず…

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