コウナゴどこ行った 全国で水揚げ激減、一因は夏バテ?
岡本進
「小女子(コウナゴ)」は、小さい女の子のように可愛い姿から、その名がついたとも言われる。春の訪れを告げる魚として知られ、国内有数の漁場、宮城県の仙台湾では大漁時に年間10億円近い水揚げがあった。ところが昨年から、こつぜんと姿を消した。
4500匹→1匹の衝撃
3月24日。宮城県水産技術総合センターの調査船「開洋」が、仙台湾の5カ所でコウナゴがどれだけいるのかを調べた。3月下旬から始まる漁期の前に実施している調査だ。だが、捕れたのは全長16ミリと小さい1匹だけだった。
センターの環境資源チームの矢倉浅黄(あさき)技師は「2年前の調査で捕れたのは4500匹。それでも『ずいぶん減った』と調査員同士で話していたのに、ここまでいなくなるとは」。
コウナゴは関西で「釘煮」と呼ばれる佃煮(つくだに)の原料として高値で取引されるため、「稼ぎ頭の魚」の一つだ。仙台湾で捕れるコウナゴが水揚げされる石巻魚市場の高橋光雄営業部次長は「コウナゴ漁だけで年間2億円稼ぐ漁師もいた」と話す。
コウナゴは1月ごろに産卵し、2カ月ほどで3センチ前後の大きさに育つ。それを5月にかけ、夜に船上であかりをともして集め、網で捕る。
異変が起きたのは2年前。前…