拡大する写真・図版JR鳥取駅で駅名板を撮る金明珠さん=鳥取市

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 約9万人の在日コリアンらが日本を後にした北朝鮮帰国事業が始まってから60年余。帰国者の父を持つ女性は北朝鮮で生まれ、その後韓国へ逃れた。そして今回、北朝鮮に残し、会えないままになっている父の故郷の鳥取県を初めて訪れた。自らのルーツがあるまちで、彼女は何を感じたのか。

 2月中旬のある夜。女性は特急列車からJR鳥取駅に降り立つと、すぐさまバッグからスマートフォンを取り出し、撮影を始めた。「鳥取」の駅名板、乗車口を案内する標識、時刻表……。目に入るものは何でも撮った。「アッパ(お父さん)がどれだけ喜ぶか」

 女性は、金明珠(キムミョンジュ)さん(41)。祖父が植民地時代に日本に移住した。父は鳥取県で生まれ育ち、帰国事業で10代半ばの時に一家で北朝鮮へ渡った。父は現地の女性と結婚し、1979年に金さんが生まれた。金さんは10代の時、食料の配給がなくなったことなどに耐えきれず、親族と一緒に脱北した。両親は北朝鮮に残った。金さんは現在、韓国籍の夫、3人の子どもと韓国で暮らしている。

拡大する写真・図版日本海を背に写真を撮る金明珠さん=鳥取市

父の故郷をたずねて

 今回、金さんは鳥取市に着いた翌日、海岸を訪れた。日本海を目にした金さんは、海に向かって走り出し、スマホで動画を撮影し始めた。「アッパ。ここがどこの海か分かりますか。アッパが言っていた海ですか」

 父は酒に酔うと、鳥取の海の思い出をよく話していた。「鳥取の海は本当にきれいだよ」「魚をモリで突いて、よく遊んだ。鳥取にもう一度行きたい」と。

 鳥取県に滞在中、金さんは在日コリアンが多く住んでいた地域の近くの海をいくつか訪ねた。父の故郷を探す手がかりは「海の近く」ということだけだ。

拡大する写真・図版浜辺で朝鮮半島の絵を描く金明珠さん。北朝鮮では船に乗って日本への脱北を目指す人もいたといい、そのルートを説明した=鳥取市

 金さんは幼い時から、日本の文…

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