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 愛知県による新型コロナウイルスの検査にミスが起き、県は、11日に発表した新たな感染者数を28人から4人に訂正した。誤ってウイルス陽性とされた人の一部は入院し、死亡後に感染者と発表された同県一宮市の男性も陰性だった。県は遺族や関係者らに連絡して謝罪した上で、再発防止策を講じる。なぜこのようなミスが起きたのか。

 11日の県衛生研究所の検査で誤って陽性とされたのは24人。このうち6人が新たに入院した。そのうち東海市の80代男性は、2時間ほど感染者と同じ病室に入っていたことから、2週間の経過観察を受けることになった。ほかの5人は個室に入っていた。また、11日に亡くなった一宮市の80代男性は、誤って陽性と判定されたために葬儀を行わずに火葬されたとみられる。

 死亡者1人を含む12人が感染したとされた一宮市は12日午後、中野正康市長ら幹部が緊急対策会議を開いた。同市は県の緊急事態宣言を受けて保育園の「限定保育」や放課後児童クラブの利用自粛を発表したばかり。さらに新たな対策を13日に発表することにしたが、県の訂正で12人全員が陰性だったことが判明し、大半を取りやめた。担当職員は「市内ではクラスター(感染者集団)が確認されていないので『12人』には驚いた。正直、ホッとしました」と打ち明ける。中野市長は自身のツイッターで「見えない敵と戦う難しさ、でしょうか。間違った情報でお騒がせしたこと、私からもお詫(わ)び申し上げます。気をゆるめず、作戦を練り直します」とコメントした。

 県によると、今回のミスはPCR検査のうち、採取した検体からウイルスが持つRNAと呼ばれる遺伝物質を抽出する過程で起きたとみられる。

 県衛生研は、1日おおむね100件超の検査をしている。感染の疑いがある人から採取された検体は、専用の容器で届く。遠心分離し、上澄み液からRNAを抽出。増幅させる処理をして「陽性」か「陰性」かを判定する。

 だが11日の結果に対し、保健所などから「陽性が多く不自然だ」などの指摘が寄せられた。残っていた上澄み液を県衛生研が再検査したところ、ほとんどが陰性だったという。県は、上澄み液からRNAを抽出する過程で混入が起きた可能性が高いと判断している。

 県の担当幹部は12日夜の会見で「作業が毎日続き、疲労が全くなかったとは言えないが、ミスがあったことは弁解の余地はない」。今後は複数人がチェックするほか、確認項目をリスト化するなどの再発防止策を講じるという。

 大村秀章知事は13日の会見で「陰性だったものを陽性としてしまったことは大変問題。心からおわび申し上げたい」と陳謝。検査態勢は平日は6人だが土日は2人だったことを挙げ、「おぼつかないので、土日をさらに増強する。気を引き締めてやるよう、指示をした」と強調した。(小林圭、荻野好弘、木村俊介)