仮設住宅、出たら自己責任なのか 熊本地震は問いかける

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渋谷雄介 井岡諒
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 熊本地震で、ピーク時に約4万8千人いた仮設暮らしを余儀なくされた被災者は、3月末で約3千人まで減少した。計画された災害公営住宅が全戸完成するなど住宅再建が進む一方、仮設を出た被災者への支援は手薄になってきている。

 一般社団法人「minori」(みのり)は2016年10月から県内のみなし仮設住宅に身を寄せた益城町民約1600世帯を訪問調査し、被災者を支援してきた。益城町から委託を受け、地域支え合いセンターの一部門として、みなし仮設の入居者を支えてきた。

 これまでに仮設を退去した約1300世帯についても自宅や災害公営住宅など再建先を訪ね、見守り支援を続けた。「復興した」とみなされがちだが、190世帯は継続的な訪問支援が必要な世帯と判断したという。

 3月末で町からの事業委託は終了。16人いたスタッフのうち、みのりに出向していた2人が戻る町社会福祉協議会に190世帯の資料を引き継いだ。代表理事の高木聡史さん(52)は「長期の信頼関係があって本音を話す被災者もいる。人員も減り、社協だけでどこまで対応されるかわからない」。手弁当で50世帯は訪問を続けるつもりだ。「夜勤の仕事を見つけ、昼間に訪問したい。投げ出すわけにはいかない」

 益城町の災害公営住宅で暮らす佐藤龍象さん(59)は山形県出身。結婚を機に熊本に来たが、今は一人暮らしだ。仮設住宅の自治会長を務めた佐藤さんにとって、災害公営住宅は良くも悪くも「別天地」だ。隣家の生活音にわずらわされることはなくなった一方、見守り機能もなくなった。

 肺炎を発症し、薬の副作用もあったのか、トラック運転手としては致命傷の白内障を患い、職を失った。「他の棟の人とは話す機会すらない。一緒に食事をしたりする友人もいない」

 熊本県の担当者は「厚生労働…

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