ようやく議員「半減」 コロナ対策で与野党が一斉退席

清宮涼 山下龍一
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 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、与野党は14日、衆院本会議での「密集」を避けるため、約半数の議員を途中退席させる対応をとった。衆院事務局によると、こうした措置は現行憲法下で初めてという。ただ、国会関係者にも感染者が広がるなか、議員たちの危機感は強まっている。

 緊急事態宣言から1週間を経て、ようやく密集回避策がとられた衆院本会議は、2時間近くにわたり開かれた。冒頭は、国会同意人事案などの採決を行ったが、ほとんどの議員が席についた。

 約10分で採決が終わると、座席を一つずつ空けた状態にするため、議員たちは約1分半かけて議場から退席。歩きながら「密着」するように語り合う姿もあったが、議員の数は半分ほどに。その後は1時間余り、法案の質疑が続いた。

 憲法の規定で議員の3分の1以上の出席がなければ本会議が成立しない。そのため、自民党立憲民主党などは議席順などを目安に出席する議員と退席する議員を割り当てた。退席した議員は質疑をネット中継などで視聴することも申し合わせた。

 自民の森山裕国会対策委員長は記者会見で、今回の対応が「3密」の解消に効果があると強調したうえで、「密談をしないようにしないといけない」と語った。

 本会議前の野党統一会派の「web代議士会」で、立憲の安住淳国対委員長は「国会でクラスター(感染者集団)が発生した場合、法案や予算案が審議できなくなる大変な問題が起きる」と強い危機感を示した。

 衆院では13日、議員秘書と職員、与野党幹部や閣僚も入居する赤坂議員宿舎に住む議員の家族の感染が明らかになった。相次ぐ関係者の感染に、議員の間では「いずれ国会にも感染の波が来ると思っていた。自分が感染している可能性があるという思いが常にある」(若手衆院議員)との不安が広がる。国民民主党平野博文幹事長は朝日新聞の取材に、「1カ月なり『自然休会』とする判断もあっていいのではないか」と指摘した。

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 第201回通常国会。国会や政党など政治の現場での様子を「政治ひとコマ」としてお届けします。清宮涼、山下龍一)

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