新型コロナウイルスの感染拡大による全国的な休校が長引けば、子どもたちの運動不足が心配……。そんな声が朝日新聞「#ニュース4U」取材班に寄せられています。子どもの体力低下の問題を長年研究してきた専門家で、あのヒット曲「パプリカ」のダンスを監修した山梨大学教育学部長の中村和彦さん(60)に話を聞きました。ところが、中村さんの懸念は子どもの体のこととは、まったく別のところにありました。
休校が続き、子どもの運動不足や体力低下が心配と言われています。全国体力調査の数値は1980年代半ばから下降線をたどり、ここ10年は底を打った「下げ止まり」の状態。テレビゲームの普及や塾通い増加などによる全体的な傾向で、休校期間が数カ月続いた程度では大した影響はないと思います。
拡大する子どもの体力低下の問題に詳しい山梨大学教育学部長の中村和彦さん。ヒット曲「パプリカ」のダンス監修も務めている=甲府市
それより私が一番気になっているのは、親子関係における心の問題です。日本では「子どもがずっと家にいてイライラする」などと言う保護者も多いようですが、そんな言葉を目の前で聞かされた子はどんな気持ちでしょうか。欧米では多くの人が「家族は自分たちで守ろう。これを機に一緒に過ごす時間を大切にしよう」と前向きにとらえているのとは大違いです。
目に見えないウイルスに対するストレスは、人生の経験値が少ない子どもの方がずっと大きい。親は自分がつらいと言う前に、彼らの言葉にならない不安に寄り添い、どうしたら希望を持って生きていけるかを語り合ってほしいと思います。
拡大する「パプリカ」でレコード大賞に選ばれた子どもユニットFoorin
閉塞(へいそく)感の漂う社会状況のなかで、ストレスをどう発散するか。心身の安定を保つ最も簡単な方法が体を動かすことです。やらされる運動ではなく、自ら動いて面白いと感じられるかどうかが大事。私が振り付けを監修した「パプリカ」のダンスも狙いはそこにあります。パプリカを何分踊れば何キロカロリー消費しますか?などとよく聞かれますが、単純に目標を数値化したって意味がありません。
お子さんのダンスを見てるだけじゃなくて、お父さんお母さんもぜひ一緒に踊ってみてください。人はひとりで踊るより、仲間と一緒に動きを合わせるとより大きな快楽を感じます。
面白い、心地よい。そう感じられる運動が心身を充実させる、と中村さんは説きます。記事の後半では、中村さんが提唱し「パプリカ」にも取り入れられている「36の動作」や、室内でも楽しめる親子の遊びを紹介します。
シンクロと呼ぶその効果がさら…
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