会社側が自宅待機を指示 なのに「休業手当なし」主張
コロナ法律相談 回答:谷真介弁護士
新型コロナウイルスが、社会や経済をも急速にむしばみ始めています。新型コロナによって身の回りで起きる様々な問題について、各分野の専門家に記者が解決策を聞きました。(聞き手・平賀拓哉)
Q ホテルでパートタイマーとして勤務しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で宿泊客が減り、自宅待機を命じられたのに「休業手当は出ない」と言われました。
A 労働基準法では、休業手当が支払われるのは「使用者(この場合はホテルの経営会社)の責に帰すべき事由による休業」、つまり会社側の都合で仕事を休むことになった場合とされています。
経営不振がコロナウイルスの影響でも、ホテル側の都合で自宅待機を命じているので休業手当(平均賃金の60%以上)はもらえます。逆に「感染が怖いから仕事を休みたい」という理由だけでは、自分の都合とされ休業手当も出ません。
たしかに、同法によれば天変地異で社屋が壊れるなど、不可抗力で出勤できないときは休業手当は出ません、今回の緊急事態宣言を受けて休業した会社は、「不可抗力」を主張することが考えられます。
ただ、本当に「不可抗力」かは個別の事情で判断されます。一人で行動するのが難しければ同僚と一緒に会社に交渉したり、ひそかに労働基準監督署に匿名で申告したりすることもできます。個人加盟の労働組合(ユニオン)への加入も考えてはどうでしょうか。
一方、民法によれば、経営不振など会社の都合で休業する場合、休業手当ではなく100%の賃金が認められる可能性もあります。本当に休業させる必要があったのかがポイントです。
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たに・しんすけ 2007年弁護士登録。大阪弁護士会の労働問題特別委員会前副委員長で、日本労働弁護団常任幹事。労働者側の立場で労働問題に取り組む。
※Q&Aの内容は、身近な法律問題について解決の参考となるよう、あくまで一つのケースを示したものです。個別の事情によっては、回答内容があてはまらないことがあります。
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