浅草寺・雷門の大提灯、静かなお披露目 五輪に向け新調
大きく、静かに、ゆらり~。東京・浅草のシンボル、浅草寺の雷門に下がる大提灯(ちょうちん)が7年ぶりに新調され、17日に掛け替えられた。これまではほぼ10年ごとに作り直されてきたが、昨年の台風などで劣化が進み、東京五輪も控えていたことから時期を早めた。新型コロナウイルスの影響で、お披露目のイベントは中止され、奉納の祈禱(きとう)だけが行われた。
浅草寺の総門である雷門は、風神雷神を左右にまつっていることに由来し、江戸中期には飾られていたことが浮世絵などからもわかる。1865(慶応元)年12月の田原町大火で炎上したが、その後、持病の快復祈願に訪れていた松下電器創始者・松下幸之助氏の寄進によって1960年に再建された。以来、大提灯下部の錺(かざ)り金具には正面に「松下電器」、背面に「松下幸之助」と記した銘板が付けられている。今回、この金具が初めて新調され、金色の輝きが増した。
大提灯は高さ3・9メートル、幅3・3メートル、重さ700キログラム。福井産の手すき和紙を用い、骨組みは京都・丹波の竹林から切り出した一本竹を使っている。71年に2代目の新調を担って以来、今回までの6代は京都の高橋提灯で制作され、大き過ぎて高速道路の料金所を通れないため、一般道を使い2日をかけて運ばれた。
この日は午前6時から大型トラックが横付けされ、とび職が取り付けを始めた。浅草寺庶務部の清水谷尚順執事は「イベントは中止したが、観音様にはあかりをともして差し上げたい。感染収束に向けての灯火となって欲しい」と話す。早朝に散歩がてらに訪れた近くに住む50代会社員の女性は「提灯がないと、どこの山門だか分からない。戻ってきてうれしい。朱が鮮やかで金具の金色が輝いてみえます」と声を弾ませた。(柏木友紀)
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