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 来年に延期になった東京オリンピック(五輪)には、トランスジェンダーの選手が出場するかもしれない。可能性があるのは、生まれた時の体の特徴から男性とされ、心の性との違いに悩み、ホルモン治療を受けて女性として生きる選手だ。スポーツ界の抵抗や偏見はいまだに消えてはいないが、五輪で活躍すれば、トランスジェンダーへの視線が変わるかもしれない。(忠鉢信一、遠田寛生)

 昨年9月、タイ・パタヤで開催された重量挙げの世界選手権。女子87キロ超級に出場したニュージーランドのローレル・ハバード(42)は、最後の試技を成功させると、左手を高々と挙げた。スナッチとジャークを合わせたトータルで、この階級の自己ベストを記録し、6位になった。

 ハバードは男性として育ち、30代でホルモン治療を受け、女性になったトランスジェンダーだ。

 世界選手権の試合後、控室の前で声をかけた。「おめでとう、と言ってもいいですか」と話しかけると、「はい」と答えた。表情が緩んだように見えたが、東京五輪に向けた抱負を聞くと、「名刺をもらえますか。休んでから答えます」「電子メールでやりとりさせてください」。それから半年余り、メールは来ていない。

 ハバードは男子の105キロ超級でニュージーランドのジュニア記録を出した経歴がある。地元紙などによると、20代で競技をやめ、競技団体の役員になった。ホルモン治療を受けた後、女子として競技に復帰。2017年には世界選手権の女子90キロ超級で銀メダルを獲得した。

 現在の国際オリンピック委員会(IOC)の規定では、大会の1年前から血液中のテストステロン(男性ホルモン)値を基準以下に保つなどの条件を満たせば、男子で競技歴がある選手でも女子で出場できる。

 ハバードは条件を満たしているが、「男の体で女子のメダルを取るのは不公平だ」という声はやまない。大会に出るたび、他国から出場資格取り消しが求められた。タイの世界選手権では、公式な抗議は起きなかったが、あるベテラン選手はこう解説した。「中国やロシアの選手に勝てないことがわかっていたから。メダルに絡むと予想されていたら違ったはず」

 ハバードは、母国でも批判を受けている。

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