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 新型コロナウイルスに感染した人が別の人に感染させる時期は、発症の2~3日前から始まり、発症前後に最も感染させやすくなるとの推計を、中国・広州医科大などのグループが発表した。発症前に起きた感染は約4割と見積もられ、多くの人が感染に気づかないままウイルスを広げている可能性がある。

 グループは、国内外の報告を集め、感染した人とさせた人が特定され、発症日もわかる77ペアの情報を分析した。ある人が発症し、感染させた別の人も発症するまでには推計で平均5・8日。先行研究から潜伏期間が5・2日を平均としてばらつきがあると仮定すると、他人への感染は発症の2・3日前から起き、0・7日前がピークだった。発症前に起きた感染は推計44%で、発症から7日後には急速に感染させにくくなっていた。

 グループは広州医科大の関連病院の患者94人に対し、発症から32日間、のどから検体を取ってウイルス量も調べた。ばらつきは大きいが全体の傾向としては、ウイルス量は初日が最も多く、21日ごろにはほぼ検出できなくなっていた。これらのことから、グループは、ウイルスの排出は発症の2~3日前から始まっているとみている。

 2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)は、原因ウイルスの遺伝情報が新型コロナとよく似ているが、感染を起こしやすくなるのは発症して1週間ほどたってから。このため、発症した患者の早期の隔離で、封じ込めに成功した。

 一方、新型コロナでは、発症していない感染者が感染を起こす事例は、日本など各国から報告されていた。高い割合で起きていれば、ウイルスを封じ込める難しさが増すが、健康な状態のときにウイルス検査を受ける機会は少なく、実態はよくわかっていない。

 今回の研究も対象人数が限られ、厚生労働省クラスター対策班に参加する京都大の古瀬祐気・特定助教(感染症学)は「44%という数字を全体に適用できるかはわからない」と指摘する。ただ、すべての人に密閉・密集・密接の「3密空間」を避け、人との接触頻度を減らす対策は、症状がない人による感染リスクも想定しており、「これまで以上に実践してほしい」と話す。

 グループの論文は15日付で米科学誌ネイチャー・メディシン(https://doi.org/10.1038/s41591-020-0869-5別ウインドウで開きます)に発表された。(市野塊、阿部彰芳)