「まるで犯罪者扱い」 感染者追跡、海外でも広がる波紋

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エルサレム=高野遼 上海=宮嶋加菜子 ベルリン=野島淳 合田禄 嘉幡久敬
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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、イスラエルでは、政府が携帯電話の位置情報を集め、濃厚接触者の割り出しに使ってきた。中国政府も交通機関の利用記録などを感染者の行動追跡に活用。欧州各国は日本と同様、スマホのアプリを使った接触者の把握に前向きだが、プライバシー侵害に対する国民の懸念を払拭(ふっしょく)できるかが成否の鍵を握っている。

 イスラエルでは3月中旬以降、人々の携帯電話に突然、政府からこんなショートメッセージが届くようになった。「疫学調査の結果、あなたは○月×日に感染者の近くにいました。隔離に入ってください」

 治安機関が、携帯の位置情報をもとに感染者と過去14日間に濃厚接触した人を割り出し、感染の可能性があることを「警告」するシステムだ。治安機関は全利用者の位置情報を把握しているとみられ、アプリをダウンロードしてもらう必要はない。

 地元紙は、4月上旬までに数万人にメッセージが送られ、感染者1500人が特定されたと伝える。政府は「この方法がなければ、隔離が必要な人の6割は発見できなかった」と評価するが、位置情報の正確さの限界から、感染者と未接触なのにメッセージが届いた人がいるとの指摘もある。

 同国では紛争が絶えず、政府…

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