「オレオの白さ」までスパイの標的に 中国が欲した技術

有料記事米中争覇

サンフランシスコ=江渕崇
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 世界100カ国以上で愛されるビスケット「オレオ」。黒いクッキーにはさまれたクリームは、どうしてあんなに真っ白なのか――。1990年代初め、鄧小平の号令で改革開放を加速させた中国は、先を行く国々の技術を自分たちのものにしようとしゃにむになった。あの白さを生み出す技術も。

「技術が盗まれ、中国に」

 米化学メーカー大手のデュポンのもとに、差出人不明の手紙が届いた。2010年夏のことだ。

 「技術が盗まれ、中国に売られています」

 手紙は、カリフォルニア州のコンサルタント、ウォルター・ルー(62)を犯人として名指ししていた。

 ルーはマレーシア出身で米国の大学院に学び、米ヒューレット・パッカード(現HP)に勤めた経験がある中国系技術者だった。

 刑事裁判の記録やルーの弁護人の話によると、摘発の経緯はこうだ。

スパイの妻が向かった先は

 デュポンからの通報を受けて調べを進めていた米連邦捜査局(FBI)の捜査官が11年夏、ルーの自宅に踏み込んだ。

 捜査官はルーの妻の財布に入っていた貸金庫のカギを見逃さなかった。捜査官が妻に問いただすと、ルーは中国語で「何も知らない」と答えるよう誘導。妻はそれに従ったが、その捜査官は中国語を解した。

 捜査官はあえてカギを返して…

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