拡大する写真・図版ワーフ川が氾濫(はんらん)しグラウンドが水浸しになったイングランド下部リーグに所属するタドカスター・アルビオンの本拠。浸水して3日経っても水は引いていなかった=2月12日、英タドカスター、遠田寛生撮影

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 拝啓、運動好きの方々へ。ある日、知人から言われます。「5年後、大好きなスポーツが同じように楽しめないかもしれない」。突然、そんな言葉を投げかけられたら、信じられますか。私は懐疑的でした。現場を見て回るまでは。伝統競技、人気競技でも、気候変動による異変はスポーツの現場でも起きていました。

創立130年「全てが終わりかも」

 焦った。踏み出すたびに、深い青色のカーペットから水が飛び出る。滑らないよう足元を気にしつつ進む。お目当ての人は電話で話し込んでいた。電気がついていない薄暗い部屋だったが、険しい表情はすぐに分かった。

 イングランド8部相当のリーグに所属するサッカークラブ、タドカスター・アルビオンの施設を訪れていた。会長のアンディ・チャールズワースさんとあいさつをかわすと、すぐに「見てくれ」と促されて外に出た。顔つきの理由が分かった。

 グラウンドの半面以上が大量の水で覆われていた。数羽の鳥が泳ぎ、池のような光景だ。場所によっては芝が確認できないほど深い。水が引いていた通路は、厚さ数センチの泥にまみれていた。

拡大する写真・図版ワーフ川が氾濫(はんらん)しグラウンドが水浸しになったイングランド下部リーグに所属するタドカスター・アルビオンの本拠。浸水して3日経っても水は引かず、水面を泳ぐ鳥の姿も=2月12日、英タドカスター、遠田寛生撮影

 疲れ切った様子でチャールズワースさんは絞り出した。「全てが終わりかもしれない」

 2月12日、英中部にあるヨーク駅からバスで西へ30分ほど離れたタドカスターへ向かった。人口6千人弱(2016年、データは北ヨークシャー発表)の小さな街。タドカスター・アルビオンは1892年に誕生し、130年近く地元に愛され続けている。

 記者が来る3日前に、暴風雨「キアラ」が直撃していた。そばにあるワーフ川が氾濫(はんらん)し、グラウンドは水没。ロッカー室やバーのある軽食エリアが入った施設は浸水した。水位は高さ1・8メートルほどまであったという。

 70時間ほどが経った12日も、爪痕はくっきりと残っていた。施設周りのフェンスは倒れたまま。ロッカーやトイレの床は泥で汚れていた。冷蔵庫などで保管していた約4千ポンド(約53万円)分の食糧はだめになった。

拡大する写真・図版イングランド下部リーグに所属するタドカスター・アルビオンの施設。氾濫(はんらん)したワーフ川の水はロッカー室やトイレにも入ってきたという=2月12日、英タドカスター、遠田寛生撮影

 自然災害。チャールズワースさんは、気候変動の影響を感じているという。「昔も水がグラウンドに入り込むことはあったが、これほどの規模はない。最近は頻度が高まり、5年に1度ぐらいだったのが、年に2度ほど起きている」。ライバルチームでも浸水被害は起きている。

 甚大な被害は2015年にも受けていた。当時も暴風雨が上陸し、水の高さは3メートルほどまでになった。電気系統全てが使えなくなり、合計の回復費用は約25万ポンド(約3200万円)。幸いにも保険が下りたが、これを最後に保険は使えなくなった。

 移転を検討したものの、買える…

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