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 そのお酒、海の底で熟成させませんか――。東京都内の会社員らが長崎・対馬の漁師と協力し、酒瓶を海底で貯蔵する事業を進めている。電力を使わずに熟成できるエコさに加え、酒をまろやかな味に変化させられる魅力があるという。

 プロジェクト名は「海底熟成酒構想」。会社員の石田博貴さん(28)=文京区=と太田拓磨さん(30)=千葉県市川市=が2017年から取り組んでいる。

 始めた当時、2人は都内のIT企業で同期だった。太田さんが海底貯蔵の事例をネットニュースで知り、親しい石田さんに持ちかけた。石田さんの知人である対馬の漁師も興味を持ち、プロジェクトは始まった。

 酒屋や愛飲家、飲食店を主な顧客に想定。ウイスキーや日本酒、ワインなど瓶詰された酒を1本あたり約3千円で引き受ける。貯蔵場所は、対馬沖の海底約30メートルの地点。水温10~15度の環境で3~6カ月程度、熟成させる。

 初挑戦では半年間沈めた結果、半分以上の酒瓶が水圧で浸水して失敗。そこから試行錯誤を重ね、開栓部を特殊な方法でロウで塗り固めるやり方を採用し、安価に水没を防ぐことに成功したという。

 これまでに計4回、約100本を熟成した。海底の水温は一定なうえ、冷蔵庫やワインセラーで長期間、電力を消費せずに済む。その味も、「米のうまさが際立つ」「まろやかな味わいになる」と試飲会で好評を博したという。

 石田さんは「CO2を出さないサステイナブル(持続可能)な方法。環境面の付加価値をつけられる」。将来的には、酒蔵などから請け負うことも構想する。「海底熟成」のブランド価値で売り上げ低迷を脱する支援になれば、という。

 太田さんは「ロマンも感じられるはず」と話す。熟成後の瓶にはフジツボやカメノテが付着し、「海底で眠る」雰囲気は抜群だ。

 問い合わせはメールアドレス(kaitei.jukusei@gmail.com)へ。(田中紳顕)