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 新型コロナウイルスの感染拡大が著しい欧州各国が対策を苦慮している。中でも、欧州連合(EU)から離脱した英国は、独自の対応を目指して出遅れ、死者の急増に直面している。

拡大する写真・図版イタリア北部ベルガモの病院で4月3日、新型コロナウイルス患者の容体を調べる医療スタッフ=AFP時事

 フォーミュラ1(F1)チームが人工呼吸器づくりに参画――。英国各メディアは3月下旬、自国の対コロナ作戦を華々しく伝えた。モータースポーツの花形F1に参加する自動車メーカーや家電大手ダイソンといった英国の代表的企業が、産学連携で医療を支援する計画だ。ジョンソン首相自身が3月中旬に主要企業を電話会議で招集し、要請した。

 EUは当時、人工呼吸器を加盟国で共同購入する枠組みづくりを進めていた。英国の保有数は8千台程度で、しかも国内に有力なメーカーがない。だが、英国はEUと協調せず、独自開発の道を選んだ。「もはやEU加盟国ではないから」(英首相官邸報道官)との理由だったという。

 目標は3万台。最初の数週間で数千台規模が納入されるはずだった。だが、機器は当局の審査を一向に通らず、出荷されない。F1チームが取り組んだモデルは、医療現場の需要に合わないとして白紙になった。4月中旬にようやく審査を通ったものの、完成したのはわずか40台。英政府は1万5千台を発注したものの「生産ペースは5月以降に週1500台」とBBCは報じた。感染ピークに間に合うか、不安な状態だ。

拡大する写真・図版ドイツ北部ハンブルクの病院で、人体模型を使った人工呼吸器の操作方法の説明を受ける医師ら=AFP時事

 英国の初期対応はずさんだった。英国は1月末にEUを脱退したが、今年末までは移行期間にあたり、共同購入の枠組みに参加する資格がある。実際、EU側は2月以降、英国に参加を促したという。英BBCなどによると、EUからの招待メールは保健省の若手職員に届いたまま放置され、気づいた時には入札が終わっていた。一方で、英国は「人工呼吸器の奪い合いに参加しても意味はない」と高をくくってもいたという。英日曜紙オブザーバーは、英国代表が医療機器の調達を協議する事前のEU会合に出席していたことを指摘して、「政府はイデオロギー上の理由で機会を逃した」。野党自民党のモラン議員は「政府は人命よりもEU離脱を優先させた」と批判した。政府も「将来の調達の枠組みには参加を検討する」と修正に追われた。混乱の中、先月末の世論調査では3分の2が離脱の移行期間について「延長を望む」と回答した。

 英国での死者は19日現在1万…

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