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 「酒の国」と呼ばれる高知県にも新型コロナウイルスが襲来し、盛り場では閑古鳥が鳴いている。外出自粛が続き、おきゃく(土佐弁で宴会)文化が危機にさらされるなか、飲食店を守ろうと外飲み日本一の高知人が動いた。(湯川うらら)

前払いチケットで店支援

 春の陽気を感じたら高知では初ガツオ。刺し身かタタキか。タタキなら塩かタレか。いつもならそう考えを巡らせ、街へと繰り出す。だが、緊急事態宣言が全国に発令されて初の週末となった4月18日土曜日の夜、普段なら酔客でにぎわう高知市の繁華街は静けさに包まれていた。

 街が暗い。ネオンがまばらだ。「営業自粛させていただきます」「スタッフの安全を考慮し臨時休業します」。店先の貼り紙が目に付く。営業中の店もあるが、客は数えるほどだ。

 7店の屋台が並ぶ高知市追手筋1丁目周辺の「グリーンロード」では営業は1店のみ。男性店主(64)は「土曜日は満席が当たり前だったけど、今日は3時間で4人。いつまで続くのか」と新型ウイルスを恨む。

 高知県では、行政が自ら「酒の国」と言うほどだ。総務省の家計調査では、高知市の外食の飲酒代は2017~19年の年平均で3万7379円と全国最多。2位の東京都区部2万8701円を引き離す。県は宴会の文化が感染拡大を加速させることを恐れ、2月末には早々に、同じ杯を使って酒を酌み交わす「献杯」や「返杯」の自粛を県民に要請している。

 4月20日時点で県内の感染者は計69人。感染拡大に伴う外出自粛の影響は深刻だ。3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、県内の宿泊・飲食サービス業の業況判断指数(DI)が昨年12月の前回と比べ、100ポイント減のマイナス86と大幅に下落した。

 この苦境のなか、高知市の繁華街では、前払いチケットを購入し、なじみの店の資金繰りを支援する有志の取り組みが始まっている。共通チケットは5千円(千円券5枚)と1万円(2500円券4枚)の2種類。使用期間は6カ月以内。特典や割引などは店舗によって異なる。4月18日時点で参加店は高知市、四万十市、安芸市、いの町など県内約100店で、チケットの発行高は1千万円を超えた。

 発案したのは、高知市のイベント企画会社「ひととコーポレーション」社長の林幹郎さん(46)。「家賃やバイト代が払えない」。2月末に県内で初めて感染者が確認されて以降、知り合いの店主から悲痛な声を聞いた。思案の末、前払いチケットがひらめいた。「今は飲みにいけなくても、大好きなお店を支援することができる」

 「コロナに負けるな! つながる高知プロジェクト」と銘打ち、3月28日からチケットの取り扱いを始めた。経営者の知人らと協力し、チケットやポスターを作製した。費用は林さんが負担した。林さんは「チケットを購入しても廃業になってしまう可能性も理解して、なじみの店を助けるという善意でチケットを買って欲しい」と話す。

 高知産の野菜や土佐あかうしの料理がおいしいイタリアンレストラン「ス・ルラクセ」(高知市)は3月末に参加した。収入は普段の半分以下に落ち込み、店内営業から弁当や総菜の予約販売に切り替えた。オーナーの山本巧さん(47)は「お客さんに助けを求めづらいのでありがたい」。

 大学教員の松田高政さん(47)はス・ルラクセなど3店舗計3万5千円分を購入した。「10年もお世話になっているお店。これからも利用するつもりなので、応援したい」

■全国にも応援の輪…

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