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【答える人】坂本崇さん 国立精神・神経医療研究センター脳神経内科医長

64歳女性。首が前にがくんと倒れたまま上がりません。痙性斜頸(けいせいしゃけい)と診断されました。治療で一度、ボトックス注射をしましたが、リハビリも痛くて通院を止めてしまいました。外出もままならず、不安を抱えています。治療法や生活の注意点を教えてください。(北海道・K)

 Q どんな病気ですか。

 A 痙性斜頸は「ジストニア」という運動障害の一種で、中枢神経の異常によって筋肉の異常な収縮で異常な姿勢や動きが起こります。運動回路の出力が過剰になっている状態、と説明しています。首に限らず手や足、顔面に出ることが多いです。

 Q どう診断しますか。

 A 血液や脳脊髄(せきずい)液の異常は無く、MRIやCTの検査では分かりにくいです。脳神経内科が専門ですが、専門家が少なく診断がつかないことも多いです。異常な運動や姿勢が、特定の動作をするときに出て、常に同じ向きに動きくかどうかなどを分析します。音楽家や理髪師などで手に出たり、レジ打ちのアルバイトや株のディーラーで首に出たり、職業に関連することも多いので、頻繁に行う動きがあるかなども確認します。筋電図で筋肉の動きの異常を見ることもあります。

 Q 治療法は。

 A 痙性斜頸の治療は、主に三つあり、緊張している筋肉にボツリヌス注射をして緊張を弱める方法、抗てんかん薬やパーキンソン薬の内服、脳外科的な手術です。まずは注射による治療をします。50%弱の人で症状が出ない「寛解」の状態になります。早く治療を始めるほど治りやすいという報告もあります。個人差はありますが日常生活に困らない程度になるまで、1年ほどかかります。

 Q 生活上の注意点は。

 A 鏡を見たり、ベッドの上に大の字に寝たりして、まっすぐを意識することを続けてみてください。また、ストレスや精神的な緊張で悪化するので、一呼吸置いてゆっくり行動するなどの対処法を考えておくことが重要です。