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 ノベルスの黄金期を生み出した奇想の作家、菊地秀行さん(70)。世界の監督が映画化したがる作品世界を生み出した創作の原点は、意外なところにあった。執筆に行き詰まり悶々とした青年期、偶然出会った占師は「あなたは作家になれます」と断言した後に、驚くべき言葉を続けた。

拡大する写真・図版原稿はうつぶせで書くことが多い。「背中も痛くならないし、椅子よりいい。原稿用紙以外目に入らないから、集中できる」=伊ケ崎忍撮影

 菊地さんは、国境をも軽々と越える奇想小説を生み出し続けてきた。

 香港のスピルバーグとも呼ばれるツイ・ハーク監督が映画化した『妖獣都市』と、吸血鬼が人類を支配する未来を描いた『吸血鬼(バンパイア)ハンター“D”』は、米国のやり手プロデューサーだったサミュエル・ハディダが目をつけ、ハリウッドでの映画化権を買いつけている。

 「エロスとバイオレンス」の作家として売れに売れ、デビューから38年で著書は420点を超えた。書き下ろしが重なったときには1カ月で1100枚の原稿(400字換算)を書いたこともある。

 屈指の多作だが、青山学院大学の推理小説研究会にいたころ書いた小説は4年間で20枚に満たなかった。「構成を考えずに書き出すから、行き詰まると投げだしちゃって」。作家になりたかったが、書けたのはショートショートだけだった。

 家業の食堂は継がず、親が期待した弁護士になることもあきらめ、好きな小説も書ききれず、自分は何になるんだろうとずっと思っていた。そんな時、研究会のメンバーに誘われて、渋谷の占師を訪ねた。暗い路上で、じっと手を見た占師は「作家になりたいですか」と尋ねた後、「あなたはなれます。なりなさい」と断言した。

 卒業後、就職はせず、10年近…

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