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 白い防護服の集団に囲まれ、検査で大泣きするわが子。結果は「陰性」。でも、手放しでは喜べない――。保育士11人と園児2人が新型コロナウイルスに感染した香川県の高松市立鬼無(きなし)保育所に2人の子どもを通わせる30代の母親が心境を語った。突然の休園や検査の体験に「普段の生活のありがたみを感じた」と話す。

 母親は市内に住む会社員。朝日新聞の取材に電話とメールで応じた。

 日曜日だった12日午後、保育所からの突然のメールで保育士の感染と休園を知らされた。「まさか鬼無で。ニュースの話が現実になるとは」。同時に「仕事に行けんな」と気づいた。

 休園になれば、ずっと子どもの世話をしなければならないし、この状況では外出も控えなければならない。ちょうど在宅勤務を試そうと、仕事の資料などを持ち帰っていた。すぐにコープの宅配で食料品などもネット注文した。

 その日のうちに、担任の保育士からも電話があり、「こんなことになって本当にすみません」と謝罪された。感染が確認された保育士を責める保護者もいたのでは、と思う。

 ただ、臨時休校になった小学生の子をもつ同僚が、仕事のやりくりで苦労する姿も見ていた。「保育所の先生たち自身が感染リスクを負いながら働き続けてくれたなかで起きてしまったこと。今でも『先生ありがとう』という気持ちです」

 当初、子どもや家族が検査を受けられるかが分からず、不安で保健所に8回も電話したが、いずれもつながらなかった。その後、「園児は全員が検査の対象になる。保護者は園児の結果を見てから」と保育所から連絡があった。

 145人の園児のPCR検査は15日に始まった。市の施設の駐車場で誘導に従って待機し、車内で問診票を書いた。ピリピリした空気に緊張し、子どもの誕生年さえ思い出せずに焦った。

 屋外の検査場の周囲では遅咲きの桜が咲いていた。防護服に身を固めた、検査担当者らの集団の姿が余計に異様に感じられた。

 子どもを抱きかかえ、防護服姿の係員が鼻に棒を突っこもうとするが、大泣きして首を振るので、なかなか入らない。2人の子の検体採取で約40分かかり、親子ともぐったりした。

 帰宅すると近所の女性が手を振ってくれた。日常に戻って安心した途端、泣きそうになった。体調に変化はないから大丈夫だろうと思いつつ、「もしも」と考えると怖かった。

 結果はその日の夜、市からの電話で伝えられた。子どもを寝かしつけながら待っていた。「陰性」と聞かされ、ほっとした。ただ、陽性と判明した園児の家族を思うと、いたたまれない気持ちにもなる。

 母親は「誰が感染してもおかしくありません。感染者を非難する風潮があるのは悲しいし、早く落ち着いてほしい」と願っている。(多知川節子)

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