吉田類さんも家飲みの日々 酒場文化がコロナでピンチ

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編集委員・小泉信一
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 仕事を終えて、いつもの酒場でちょいと1杯。そんな至福の時間が日常だった御仁にとって、新型コロナは人生のリズムを崩す脅威である。被害者はサラリーマンだけではない。多くの酒場が休業する中、あの吉田類さんも家飲みを余儀なくされているのだ。

 ちあきなおみさんが歌った昭和の名曲に「紅(あか)とんぼ」がある。舞台は東京の新宿駅裏。酒場のママさんなのだろう。なじみ客に店じまいを告げ、一人ひとりにお礼の言葉を贈る。ママさんは故郷へ帰るという。

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、自宅で過ごしていた夜、久しぶりに聴いた。情感のこもった歌声が胸を揺さぶる。

 あの店どうしているだろう? 思いが駆けめぐり、電話をかけてみた。

 東京の下町で40年以上続いている居酒屋は、4月に入ってから常連客すら顔を見せなくなったという。「家族で経営しているうえ、家賃も安いからまだ何とかできるけれど、人を雇ったりしている店は大変な状況なんだろうなあ」と主人(68)は心配する。

 「しばらくの間、休業します」

 私が住む街の商店街にもそんな貼り紙をあちこちで見かける。「しばらく」というけど、そのままやめてしまうのではないか。

    ◇

 私見だが、酒場は単に気炎をあげ、酔っ払うだけの場所ではない。魅力的な店主やママさんがさまざまな客と織りなす「文化的空間」である。ユーモアと機知に富む会話、はじける笑顔……。温かな人情が愚痴も不平も包み込む。

 「スナック」という業態も日…

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