[PR]

 今季(2019~20年)、全国でインフルエンザにかかった患者は推計約730万人で、18~19年の約6割だったことが国立感染症研究所(感染研)のまとめでわかった。流行がピークに達した週(昨年12月23日~29日)の全国約5千カ所の定点医療機関から報告された患者数は過去12年で最も少なかった。

 新型コロナウイルスの感染が広がり、手洗いなどの感染予防策が広がった影響を指摘する声はあるが、否定的な意見もあり、はっきりした理由はわからない。

 定点医療機関から報告される1週の患者数が10人を超えると「注意報」、30人を超えると「警報」が自治体ごとに出される目安となる。

 今季の定点あたりの患者数は、年末に全国平均で23・24人。これをピークに年明け以降は減少傾向となり、全国平均では警報レベルに達しないまま3月中にほぼおさまった。近年、流行ピーク時の定点あたり患者数は40~55人ほど。30人を下回ったのは07~08年以来となる。今季の推計患者数は全国で728万5千人で、1200万人を超えた前季の約6割だった。

 人の間で流行するインフルエンザのウイルスにはA型2種類とB型1種類の計3種類あり、その年ごとに流行する種類は変わる。2~3種類が同時に流行することも多いが、今季は09年に新型インフルエンザとして流行したA型(H1N1)が9割以上を占め、ほぼ1種類の流行だった。

 今季は新型コロナウイルスの影響で、手洗いやマスクの着用などが徹底され、そのことがインフルエンザの患者数にも影響したとの声もある。ただ、インフルエンザに詳しいけいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師は「その証拠はない。1、2月の段階で、全国的に新型コロナへの警戒感はそこまで高くなかった」と指摘する。

 一方、今後はインフルエンザの診断が難しくなる、と菅谷さんは危惧する。のどや鼻の奥からぬぐい液を採取して感染の有無を調べるが、その患者が新型コロナウイルスに感染していれば、検査する医師らが感染するおそれもある。

 菅谷さんは「マスクなど感染を防ぐ物資の確保や検査体制の整備を、いまから準備していかないと間に合わなくなる」と話した。(野口憲太)