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 新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受け、「不要不急の外出自粛」が求められているのに、多くのサーファーが海岸に訪れている。関係自治体が県境を越えた移動や、外出自粛の徹底を呼びかける中、サーフィン日本代表「波乗りジャパン」の村上舜(23)も朝日新聞の電話取材に応じ、「プロサーファーも仕事を捨てて自粛しているので、皆さんも協力してほしい」と訴えた。現場では何が起きているのか。

拡大する写真・図版サーフィン日本代表の村上舜

 サーフィンの人気スポットの一つ、神奈川県藤沢市の鵠沼(くげぬま)海岸には先週末の18、19日、県内外から多くの人が訪れた。県による分析では、19日午後3時時点の海岸周辺の人口は、宣言前と比べて約6割も増えたことがわかった。海岸沿いを通る国道134号も渋滞したという。

 サーフスポットのある自治体は他県からの来訪を規制するため、藤沢市のほか、東京五輪のサーフィン会場の千葉県一宮町、静岡県牧之原市などは海岸近くの駐車場を閉鎖している。その一方、まだ波に乗れる海岸を求めて、サーファーが訪れることで「密」の状態が生じているスポットもある。

拡大する写真・図版今月19日の国道134号。神奈川県藤沢市の江の島(左奥)周辺では、鎌倉方面(写真左方向)に向かう車で大渋滞が発生した=藤沢市提供

拡大する写真・図版ガードレールで閉鎖された千葉県一宮町の釣ケ崎海岸の駐車場入り口。自粛を呼びかける案内が貼られていた=4月8日

 神奈川県湯河原町在住の村上は3月に帰国後、練習は週1回に抑えてきたが、今月7日に緊急事態宣言が出されてからは自宅で過ごしている。「(五輪競技に初めて採用された東京大会で)サーフィンがスポーツとして、ちゃんと認められそうだっただけに、サーファーの悪いところばかり取り上げてられてイメージが下がるのは悲しい」とこぼす。

 村上は2018年、日本一を決める「ジャパンオープン」で優勝。19年世界選手権では日本人最高の4位に入賞し、東京五輪でもメダルの獲得を期待される。海に入って練習できていない状況だが、「プロだけいい、という風にしては不公平。自分がかっこいいと思っているサーフィンを、かっこ悪いと思われたくない」と受け止める。

拡大する写真・図版2019年世界選手権で波を乗りこなす村上舜

 自宅の前などで週3回ほど、腕立てやスクワットなどを入れたサーキットトレーニングで汗を流す。「サーフィンが1~2カ月間できなくても、下手になったりはしないと思う。ただ、自粛が3カ月以上となってくると厳しいかも」と不安もある。

 大型連休を前にサーファーへの批判が高まる中、日本サーフィン連盟の酒井厚志理事長も22日、「全てのサーファーの皆さんへ」と題した声明をホームページで発表した。「不用意に生活エリアを超えた移動をしないこと、それが命を守ることにつながります」「地方ではご高齢の住民が多く、医療資源の限られる町に、多くのサーファーが訪れることに危機感を抱いています。恐怖心から駐在所に駆け込む方もいると聞きます」などと自粛を呼びかける。

 村上は「自分もサーフィンをしたくなるけど、今は我慢する時期。一人一人が協力しないと終息しない」と話している。(室田賢)

拡大する写真・図版日本サーフィン連盟の酒井厚志理事長が「全てのサーファーの皆さんへ」と題して、不要不急の外出自粛を呼びかけた

拡大する写真・図版2019年世界選手権で4位となった村上舜

拡大する写真・図版2019年世界選手権で4位となり、日の丸を背に引き揚げる村上舜(中央)ら日本チーム