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 疫病退散のご利益があると言い伝えられている妖怪「アマビエ」の姿をかたどった上生菓子を北海道函館市の和菓子店「和創菓ひとひら」(函館市西桔梗町)が制作、販売している。経営する菓子製造会社「吉田食品」の吉田貴之社長(48)が自らデザインし、手作りしている。

 アマビエは、江戸時代末期、現在の熊本県に現れたとされる妖怪。当時の瓦版は、長い髪、くちばしと3本の脚を持つ不思議な姿で「疫病が流行したら自分の姿を写し、人々に見せるように」と語り、海に消えたと伝えている。

 新型コロナウイルス感染が広がってから、SNSなどでアマビエの姿をイラストに描くことが流行。厚生労働省も感染予防のキャンペーンのマスコットとしてアマビエの絵を使い、広く知られるようになった。

 吉田社長は、全国菓子研究団体連合会の仲間の和菓子職人たちが、このアマビエをデザインした菓子づくりに取り組んでいることをツイッターやフェイスブックなどで知った。「新型コロナウイルス感染症の流行で暗い気持ちの人たちを、和菓子で元気づけたい」と加わった。

 今月15日、仕事を終えた後にデザインを考えた。16日に試作し、店のSNSにアップした。ピンクやグリーン6色の練り切りを使った凝った作りだ。アマビエのビジュアルを、見て楽しんでもらうのがねらいだった。しかし、SNSを見た人から「買いたい」という反応が予想外に多く、販売することに。1個378円(税込み)。朝、100個作って午前中には売り切れる人気という。

 観光客の壊滅的な減少で、吉田食品も土産菓子の売り上げ減少に苦しんでいる。吉田社長は「でも、こんな時だからこそ、甘いお菓子で癒やしを求める人もいる。何のために菓子を作るのか、改めて考えさせられます」と話している。(三木一哉)