講道館図書資料部長の村田直樹さんが今月9日、心不全で亡くなった。70歳。嘉納治五郎研究の第一人者で、柔道の歴史案内人だった。
「嘉納師範が書いたものによると、師範が最初に学んだ天神真楊流(てんじんしんようりゅう)柔術は『幕末に盛んだった流派の一つ』だったらしい。平たく言えば、人気があったということ。だから入門しやすかったんじゃないかな」。いつも研究者らしく論理的で明快、そしてユーモアあふれる口調で、柔道の歴史や論理を説明してくれた。
「その点は師範に直接聞くしかないがね」「おそらく頭のいい人だから」などと前置きしながら、気さくに色んな話をしてくれた。だから世界中の柔道愛好者から慕われ、柔道担当記者のぼくも村田さんのもとに通った。
昨年10月には連載企画「五輪をめぐる 嘉納治五郎」の取材で3度会った。「柔道の根底に武士道がある。戦場では感情を出さないもの」と語り、「畳(戦場)から下りたら喜んでもいいが、負けた相手の頭上でガッツポーズをするのはいただけない」と、競技スポーツとなった今の柔道を批評した。
そして、「表情を変えない大…