聞き手・江渕崇
新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)は、米トランプ政権が仕掛けた貿易摩擦など、グローバル化が逆風にさらされる中で起きた。米国や世界経済はどこに向かうのか。著書「時間かせぎの資本主義」などで知られ、金融緩和による問題の先送りを批判してきた独社会学者、ヴォルフガング・シュトレーク氏にメールで聞いた。
拡大するヴォルフガング・シュトレーク氏=2016年、独ケルン、江渕崇撮影
――大恐慌に匹敵する不況が世界を襲っています。
「(リーマン・ショックがあった)2008年から今に至るまで、資本主義は『ステロイド注射』によって生きながらえてきました。債務は爆発的に増え、中央銀行は資産を急激に膨らませ、ゼロ金利によって資産価格は高騰しました」
「他方、格差は広がり続けました。米国では大多数の家計がその日暮らしで、貯金も医療保険もない。ウイルス危機は、元から抱えてきた矛盾をさらに深刻にするだけだとみています」
――各国は医療資材の確保や感染拡大防止などのため、モノやヒトの動きを国境で止めようとしています。
「様々な形をとった保護主義が、世界でさらに高まっていくでしょう。世界の貿易は08年以降は伸び悩んでおり、この傾向はあと数年間でさらに強まり、グローバリズムは勢いを失います。米中の覇権争いと、新たなデジタル技術をめぐる安全保障上の脅威の高まりもあり、世界経済はふたたびブロック化が進むとみています」
拡大するヴォルフガング・シュトレーク氏=2016年、独ケルン、江渕崇撮影
――巨額の財政支出と金融緩和…
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朝日新聞国際報道部