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 長崎県は24日、長崎市に停泊中のイタリアの大型クルーズ客船「コスタ・アトランチカ」(8万6千トン、乗員623人)で、新たに乗員43人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。感染した乗員はこれまでに判明していた48人と合わせて計91人で、1人が重症。

 乗員は日本人1人を除いて全員外国籍で、乗客はいない。22日までに34人、23日に14人の感染が確認されていた。24日に発表されたのは23日に検査した208人の結果で、43人が陽性、1人は再検査、残りは陰性と判明した。

 県などは乗員全体の検査を進めており、24日までに残る約300人の検体を採取する方針。県の災害派遣要請を受けた自衛隊や厚生労働省、長崎大から派遣された医師らが作業を進めている。

 客船はイタリアのコスタクルーズ社が運航。中国で予定していた修繕工事が新型コロナウイルスの影響でできなくなり、2月20日から3月25日まで長崎市の三菱重工業長崎造船所香焼工場で修繕を受け、その後の試運転などを経て、再び停泊を続けていた。(小川直樹)

「地域そのものの崩壊・消滅につながりかねない」

 長崎市の三菱重工業長崎造船所香焼(こうやぎ)工場に停泊中のイタリアの大型クルーズ客船「コスタ・アトランチカ」(8万6千トン、乗員623人)でのクラスター(感染者集団)発生を受けて、長崎県医師会は23日夜、県内の医療体制の崩壊が危惧されるとして、「医療危機的状況宣言」を出した。県民への協力も呼びかけている。

 県が確保している感染者病床は102床。重症者の病床は30床を確保している。一方、長崎県内の感染者は17人(23日夜時点)いるほか、クルーズ船の感染者は乗員623人のうち91人(24日午前時点)に上る。残る乗員についても感染の広がりを調べることにしている。

 宣言は、クルーズ船のクラスターに触れ「県内でも(感染が)着実に拡大しつつあり、いつ誰が感染してもおかしくない」と指摘。「長崎県には医療過疎地域も多く、コロナ感染が地域そのものの崩壊・消滅につながりかねない」と訴える。

 そのうえで、県民に対して医療機関を直接訪ねず、まず電話で相談することや、県境を越えた出入りの自粛、外出時の行動記録をつけることなどを呼びかけた。

 23日夜に記者会見した県医師会の森崎正幸会長は、軽症者を宿泊施設に収容することで「なんとか対応できないかと思っている」と説明。一方、「クルーズ船がどこで落ち着くかが非常に重要」と話した。

 医療危機的状況宣言は、福岡県医師会も今月6日に発表。医療体制を維持するため、県民に対して不要不急の外出自粛などを呼びかけている。(横山輝)