「せっかく助かった」気負い続けて15年 重かった言葉

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滝坪潤一 後藤遼太
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 違う場所でも祈りは同じ――。25日に発生から15年を迎えたJR宝塚線(福知山線)脱線事故新型コロナウイルスの影響で、兵庫県尼崎市の事故現場での追悼慰霊式は中止に。遺族や負傷者はそれぞれの場所で、あの朝からの年月に思いをはせた。

 「事故現場には家内の魂は何もないです。でも、このハサミにはこもっていますわな」

 兵庫県西宮市北六甲台1丁目の住宅街。「ヘアーサロンにしの」を営む西野道晴さん(80)の傍らには、すきバサミや刈り込みバサミなど大小8丁が整然と並ぶ。脱線事故で亡くなった妻節香(せつか)さん(当時63)が大切にしていたものだ。道晴さんは愛用し続けている。

 新型コロナウイルスの影響で追悼慰霊式が中止になり、初めて、脱線事故が起きた午前9時18分を節香さんとの思い出が詰まった店の中で迎えた。この日も、起きるとすぐに仏壇に手を合わせ「当たり前の一日を過ごすことができる。平凡なことが一番幸せや。ありがとう」と声をかけた。午前9時過ぎには、長年の常連客が訪れ、長男勝善(まさよし)さん(50)がシャンプーを始めた。道晴さんはその姿を近くで見つめた。

 15年前の朝、夫婦で営む自…

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