南海トラフの事前避難地域、6割が未指定 コロナ影響も

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 南海トラフ地震で短時間に大きな津波被害が予想される太平洋沿岸の139市町村のうち、6割の自治体が、津波の発生前に住民を避難させる「事前避難対象地域」を指定できていないことが、朝日新聞の取材で分かった。国は2019年度末までに対象地域を指定するよう求めていた。

 南海トラフでの巨大地震発生確率は今後30年以内に70~80%で、想定される死者・行方不明者数は最大で約23万1千人とされる。想定震源域の半分でマグニチュード8クラスの地震が起きた際、残り半分の震源域でも大地震が発生する恐れがある。国は二つ目の地震への警戒を呼びかける「臨時情報」を出し、すぐに高台や避難施設に逃げられない住民に1週間程度の事前避難を促す計画だ。

 朝日新聞は今月、「津波避難対策特別強化地域」になっている千葉から鹿児島までの14都県139市町村に電話で取材し、すべてから回答を得た。太平洋側にある14都県では、地震発生から30分以内に30センチ以上の津波が到達するなど、短時間での被害が予想されている。

 その結果、19年度末までに事前避難対象地域が未指定なのは81市町村(58・3%)▽指定を終えたのが31市町村(22・3%)▽浸水地域に人が住んでいないなどの理由で指定する必要性がなかったのが27市町村(19・4%)だった。実質的には指定済みだが、新型コロナウイルスの感染拡大で防災会議を開けず、未指定となっているところもあった。

 指定が進まない理由は、長期間の避難ができる避難所の不足や、住民との協議に時間がかかっていることなどが挙がった。

 未指定の81市町村に今後の見通しを聞くと、20年度中に指定すると答えたのは57市町村(70・4%)、21年度以降は3市町(3・7%)、未定が21市町(25・9%)だった。

「未指定」と回答した81市町村

千葉県

館山市南房総市、鋸南町

東京都

大島町、利島村、新島村、三宅村、御蔵島村、八丈町

神奈川県

鎌倉市藤沢市小田原市逗子市三浦市葉山町、大磯町、二宮町、真鶴町、湯河原町

静岡県

浜松市沼津市富士市磐田市掛川市袋井市下田市湖西市伊豆市御前崎市牧之原市、東伊豆町、河津町南伊豆町松崎町西伊豆町吉田町

愛知県

豊橋市、田原市、南知多町

三重県

四日市市鈴鹿市鳥羽市熊野市志摩市川越町、明和町、大紀町南伊勢町御浜町、紀宝町

和歌山県

新宮市、広川町、日高町、印南町、那智勝浦町太地町、古座川町、串本町

徳島県

小松島市、牟岐町、美波町、海陽町、松茂町

愛媛県

宇和島市八幡浜市、西予市、伊方町、愛南町

高知県

室戸市安芸市、土佐清水市、東洋町、大月町

鹿児島県

西之表市志布志市大崎町、東串良町、南大隅町、肝付町、中種子町、南種子町

「指定済み」と回答した31市町村

【東京都】

神津島

【静岡県】

静岡市焼津市

【三重県】

松阪市尾鷲市紀北町

和歌山県】

御坊市田辺市、美浜町、由良町みなべ町白浜町、すさみ町

【高知県】

高知市南国市、土佐市、須崎市宿毛市四万十市香南市、奈半利町、田野町、中土佐町、四万十町、黒潮町

大分県

佐伯市

宮崎県

延岡市日南市日向市新富町都農町

「指定の必要なし」と回答した27市町村

【東京都】

青ケ島村

【神奈川県】

横須賀市平塚市茅ケ崎市

【静岡県】

熱海市伊東市

【三重県】

津市、伊勢市

兵庫県

洲本市南あわじ市

【和歌山県】

和歌山市海南市有田市、湯浅町

【徳島県】

徳島市鳴門市阿南市

【高知県】

安田町、芸西村

【大分県】

大分市臼杵市、津久見市

【宮崎県】

宮崎市串間市高鍋町、川南町、門川町