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 日本銀行は27日の金融政策決定会合で、追加の緩和策を決めた。新型コロナウイルスの影響で景気が悪くなるなか、企業の資金繰りなどを支えるねらい。政府が経済対策で国債を増発して金利が上がるのを抑えるため、「年80兆円をめど」としてきた事実上の国債の買い入れ上限をなくし、積極的に買う方針を示した。

 日銀は前回3月も緩和を決めており、2会合連続の追加策は異例。政策を総動員し、企業の資金繰りを助け、経済を下支えする。ただ、日銀はすでに国債残高の4割超を持つ。買い入れをさらに増やせば、中央銀行が政府の財政赤字を穴埋めする「財政ファイナンス」が心配され、財政規律の緩みを生む問題もある。

 国債発行が大きく増えて投資家が買いきれないと、政府は高い利息を約束して買ってもらう必要があり、金利上昇につながる。投資や消費を活発にして物価を上げるため、日銀は長期金利を0%程度に抑える方針を掲げて国債などを買い続けている。その増加ペースを「年80兆円をめど」としてきたが撤廃し、「上限を設けず必要な金額の買い入れを行う」と決めた。

 増加額は2016年ごろに80兆円ほどだったが、最近は金利が低く安定していたため10兆~20兆円ほど。従来の上限までには余裕があるが、金融市場の不安を取りのぞくねらいがある。

 黒田東彦(はるひこ)総裁は会合後の会見で金利上昇のリスクを指摘し、「今回のような危機的な状況では、政府との協調した行動が重要だ。中央銀行としてできることは最大限やる」と述べた。

 資金繰り支援策では、企業が運転資金を集めるために出す社債などの購入枠を、7・4兆円から約20兆円へ約3倍に増やす。前回3月の会合で、社債と社債の一種コマーシャルペーパー(CP)の買い入れ枠を4・2兆円、3・2兆円と1兆円ずつ増やしたが、今回は6・5兆円ずつさらに増やした。新型コロナの影響で4月も社債金利などが上がる傾向で、企業の資金調達が難しい状況に対応する。

 日銀が金融機関に対し、企業向けの融資を促すための制度も強化。これまで大手銀行中心に利用していたが、金融機関から受け取る担保の条件を緩和するなど地域金融機関も使いやすくする。政府の資金繰り支援制度と連携した新たな資金供給策も早急に検討するとした。

 今会合では、四半期に一度の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめた。日銀は「当面、新型コロナの影響で厳しい状態が続くとみられる」と指摘。20年度の実質経済成長率見通しを従来の0・8~1・1%からマイナス5・0%~マイナス3・0%に下げた。物価上昇率を下方修正し、初めて公表した22年度は0・4~1・0%とした。日銀の掲げる2%の物価上昇目標は、23年4月に任期満了を迎える黒田総裁の在任中に達成できない見通しとなった。

 新型コロナ感染予防のため、日銀は今回、3月の前回会合に続き、通常2日間かける金融政策決定会合の日程を1日に短縮した。(渡辺淳基