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 先日、イスタンブールの自宅マンションに戻ると、部屋のドアノブに紙袋がかかっていた。縦1メートル、横1・5メートルのトルコの国旗が入っている。同封の紙には、「私たちはあらゆる困難をはねのけて独立を勝ち取った国の子孫。新型コロナウイルスとの戦争にも勝てる。ベランダに国旗を掲げてほしい」と記されていた。

 トルコ共和国は、オスマン帝国が第1次大戦で西洋列強に敗れて解体の危機に直面しながら、祖国解放戦争を経て1923年に成立した。選挙集会、経済危機、隣国シリアからロケット弾が飛んでくる国境の町など、思い返せば、国内の取材現場には国旗を手にした人たちの姿があった。「戦い」に国旗は欠かせないようだ。

 さりとて、外国人の私がトルコの旗を掲げるのもいかがなものか。そう思っていたが、翌朝には隣室をはじめマンションのほとんどの部屋に国旗がはためき、複数枚を出す人もいた。住民には外国人もおり、当初は模様眺めしていた欧米人とみられる部屋にも昼には旗が掲げられた。

 トルコの感染者は11万人を超えた。この「戦い」には勝ってほしい。そんな思いで、我が家も旗を出した。(其山史晃)