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 前回までに、長い春休みにゲームざんまいになっている我が子への三つの対処のうち、二つめまでをご紹介しました。ちなみに一つめは、「未来を想像させる」、二つめは「どんな人生を送りたいのかを問う」でしたね。それぞれ過去記事をごらんください。

 前の二つを実行した時点で、子ども「どうやらゲームざんまいの未来はいいことばかりではなさそうだ。しかもその未来って、自分がなりたい人生とはだいぶ違うぞ」ということが、かなりリアルに理解できているはずです。ここまでで動き出せる子どもは素晴らしいのですが、多くの人間にとって生じるのは「わかっちゃいるけどやめられない!」という現象ですね。みなさんもありませんか?私はあります。

 「ここでお酒を飲み過ぎてはいけないことぐらいわかる。1カ月後には定期検診もあるし、それどころか翌朝顔がむくむことだってわかっている。なのについつい・・・」

 そうなんです。今やっていることの結果が悪いことだとリアルに想像すればするほど、逃げたくなるのも人間です。ここでだいたいの子どもが「うーん、大変なことになるよね。でも今考えたくないから、うん、ゲームしてごまかすか!」とゲームに再び逃避してしまうというわけです。

 さて、こうした悪循環を防ぐにためには、この「逃避」のパターンに陥る前に、すかさず、具体的な手を打つことが必要です。これが三つめの「希望する人生に近づけるために、ゲームとの付き合い方を決めさせる。」なんです。今回はこれについてご紹介します。

ゲームとの付き合い方でよくいわれるのが「1日1時間まで」のような時間制限型です。

 これをこのコラムではもう少し詳細で実践できそうな提案をします。

 「1日1時間まで」。これはわかりやすいルールですが、いくつか実施上の問題があります。

 【子どもの側】

 ・1日のうちどのタイミングでゲームをしたら叱られないかよくわからない。(だいたい夕食のちょっと前などにゲームを開始して、ご飯ができたのにやめないことを親から叱られる)

 ・ゲームのキリの悪いところで時間制限が来た場合、時間オーバーしてでも続けたくなってしまう。

 【親の側】

 ・子どものゲーム時間をすべての場面で計測するのは難しい。日中仕事に行く親はもちろん難しいし、子どもだってそのうち親に隠れてゲームをし始める。

 ・ゲーム時間を巡って親子ゲンカ勃発(こんな自粛生活でお互いストレス溜まっていますよね)

拡大する写真・図版イラスト・中島美鈴

 このように、実際運用上支障が満載なわけです。

ゲーム時間、親子でもめたら…

 こうした攻防を問答無用に時間制限でスパッと解決してくれるのが、iPhoneのファミリー共有、スクリーンタイムです。詳細な設定方法はAppleのホームページをご参照ください。

 ここでは、どんなことができるのか、それに基づいてどんなことを親子で取りきめればよいのかについてご紹介します。

 https://support.apple.com/ja-jp/HT201304別ウインドウで開きます

 (iPhoneのファミリー共有とスクリーンタイムでできるゲーム制限の一例)

 1.子どもに見せたくないサイトを制限

 2.子どもがアプリやゲームを課金して購入できないよう制限

 3.iPhoneを使わない時間帯を決めてオフにできる

 これらの設定を子どもと一緒にしていくとよいでしょう。

 1.「子どもに見せたくないサイトを制限」に関しては、

 親「ネットには、その画像をみただけで怖くてそれが目に焼き付いてしまうぐらいショックを受けるようなものがたくさん載っている。まだ小さいうちからそういうのを見てしまうと、眠れなくなったり、悲しい気持ちが続いたり大変。だから○○ちゃんが安心してみられるようなサイトだけの設定をしておくよ」

 なんていう説明もいいでしょう。

 2.「子どもがアプリやゲームを課金して購入できないよう制限」は、こんなかんじでどうでしょう?

 親「ある子どもがね、知らずにiPhoneを触っていて、すごく高いゲームをいっぱい買ってしまったの。そしたらその月の電話代が10万円になったんだって!」

 子「えーーーーーー!!こわい」

 3.「iPhoneを使わない時間帯を決めてオフにできる」は、

親「ゲームは1日1時間していいけど、いつするかも大事。夜寝る前だとどうなるかな?あの光でなかなか寝付けなくなる子どももいるみたい。あと、お母さんが、ご飯をせっかく作って、よし食べるぞってタイミングでも困るなあ。となると、何時から始めたらいいんだろう?朝の9~12時の頭のさえてる時間は勉強に向いてるっていうしねえ。」

 子ども「そしたら昼ご飯を毎日12時からにして、食べ終えて12:30~13:30っていうのはどう?」

 親「いいねーー!」

 子ども「30分を2回でもいいね。15時でおやつを食べて、その後とかもいいなあ」

 親「ってことは、寝ている夜の時間から12:30までは使わない時間帯ってことで設定する?」

 子ども「うん。そうなるね。」

ツール使ってうまく管理

 理想的には、これを初めてお子さんにiPhoneやiPadを与えるときに、親子で話し合いながら設定できるとよいでしょう。これからお子さん向けにタブレットを買って、学習に役立てたいという場合にもペアレントコントロールのききやすさから、親がApple製品なら子どももそろえてiPadにしておくことをお勧めします。

 長引いた休校で、各家庭でさまざまなお子さんの課題が目についているかもしれません。日頃なら日中は学校に行っているお子さんと四六時中一緒にいるのですから、どうしても見えてしまいますよね。でもこれって、制限なく時間の使えてしまう今だからこそ浮き彫りになった課題ですが、お子さんが高校を卒業した後に直面する課題でもあるのです。小さいうちから、自分をコントロールする方法を、今回のように便利なツールを使いつつ、教えていけるといいですね。

 今の時代に学生時代を過ごした子どもたちは、社会人になった頃に、「コロナ世代」なんて呼ばれるようになるのかもしれません。「ほら、だからコロナ世代は、なんでもオンラインでしようとする」なんて皮肉を言われるかもしれませんが、いや、「コロナ世代は、自分で自分を管理して勉強でも遊びでも、人とつながることでも工夫してきた世代です!自律と創意工夫の世代です」と宣言できるようにしておきたいですね。

中島美鈴

中島美鈴(なかしま・みすず) 臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。