【動画】屋形船を並べて描かれた「アリガトウ」のメッセージ=諫山卓弥撮影
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 新型コロナウイルスと闘う医療従事者へ、感謝のメッセージを――。休業中の屋形船店が27日、東京湾に船で「アリガトウ」の文字を浮かべた。

 取り組んだのは、東京都品川区の「船清(ふなせい)」。屋形船など10隻を出し、近くの豊洲大橋から女将(おかみ)の伊東陽子さん(67)が無線で指示を出しながら、カタカナで「アリガトウ」の文字を1字ずつ描いた。船は長期間動かさないとエンジンがかからなくなるなどの支障が出るため、操船の研修も兼ねた取り組みという。

 同社の屋形船では、1月に新年会で利用した客や従業員に感染者が出た。その後、店の関係者や家族も心ない言葉を受けたり、脅迫まがいの文書や電話を受けたりしたという。

 国内で初期に確認されたクラスター(感染者集団)だったこともあり、「『屋形船は危険』という誤ったイメージが先行してしまったように思う」と伊東さん。屋形船は元々海や川の涼をとるようにできたもので、換気扇も複数設置されており、「屋形船が密閉空間、と決めつけられるのも違和感がある」と嘆く。

 風評被害に苦しんだ一人として、医療従事者への差別や中傷の報道を見聞きして胸を痛めている。伊東さんは「医療従事者の方々は、見えないところも含め、大変な思いをされていると思う。がんばれ、よりもまず、感謝の気持ちを伝えたい」と話した。

 屋形船は、都の休業要請で飲食店と同じカテゴリーで対象外となったが、外出自粛などで客足が戻らず、同社は自主的に運休を続けている。一部の心ない言動に傷ついた一方、「再開したら乗りに行きます」との声や励ましもたくさん受けた。カンパを申し出る声もあり、それならばと前売り券の販売や返礼付きのクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/251822別ウインドウで開きます)も始めた。クラウドファンディングは29日まで。