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 小学校の低学年の子どもが管理できる時間はせいぜい10分程度であることは過去の記事でも触れました。

 2020年1月10日分コラム「子どもの時間感覚、育むアイテム ADHD主婦の子育て」(https://www.asahi.com/articles/SDI201912253695.html

 このとき、子どもが「10分なら、手洗いとランドセルを下ろすまでならできそう!」と長さを予想して、その時間幅に合う活動を想定でき、10分間その活動に集中してやり遂げるということすべてを含めて「時間管理」と呼んでいます。

 全国一斉の休校で、多くの親が直面したのは、「24時間、曜日の感覚さえつかめない自粛生活で、子どもに一日中“早く起きなさい”“いい加減にゲームやめなさい”“早く勉強しなさい”“寝なさい”と言い続けなければならなかったこと」かもしれません。

 これらはすべて時間管理の問題です。

 10分ほどの時間管理が限度だった小学生にとって、24時間が毎日続くのはなかなかな大仕事です。ですが、原則は変わらず、やはり「10分単位でいこう」です。

 でも、24時間を10分単位で区切っていくと、10分刻みのスケジュールを一日中要求されているという堅苦しさから、息がつまりそうになります。

 なのでこうした手順でいかがでしょうか?

 子どもの1日スケジュールの作り方

 1.まずは固定の予定(ルーチン)を入れる。

 2.ルーチンの間の空き時間を数えてみる。

 3.to doリストを作り、それぞれの所要時間を見積もる。

 4.wantリストを作り、それぞれの所要時間を見積もる。

 5.空き時間にto doとwantをバランス良く入れる。(同じ程度の時間)

ホワイトボードでカレンダーを

 1.まずは固定の予定(ルーチン)を入れる。

 私がお勧めする子ども向けの時間管理のツールはホワイトボード2枚です。どちらもA4サイズほどで十分です。

拡大する写真・図版イラスト・中島美鈴

 まずホワイトボードの1枚を「1日カレンダーホワイトボード」と命名します。そして、これを使って1日のおおまかな時間の流れを子どもと確認していきます。

 このイラストのように、縦軸に時間軸がくるようなバーティカル形式の表を書きます。

 縦幅が太いほど、長い時間ということになります。

 ここに、日頃やっている時間固定の用事(ルーチン)をペンで書き込みます。風呂、食事、寝る時間、起きる時間ぐらいでけっこうです。オンラインの習い事をしている子どもはそれも入れます。時間が決まっているものは入れていきます。我が家の場合は、ドラえもんは必ずタイムリーに見ると決めているので、土曜5時はルーチンです。

 家族の用事(買い物、家族の帰宅、通院など)も時間をだいたい決めて入れてしまいます。

 これで、ずいぶん構造が整いました。ちなみに、休校中にぜひ守っていただきたいのは「ルーチンの時間を必ず固定すること」。「明日どうせ学校ないし、夜更かししてもいいんじゃない?」「別に仕事も休みだし、朝早く起きなくてもいいや。」という誘惑に負けずに守り抜いてください。特に非常時の子どもの心身の健康に役立ちます。

 2.ルーチンの間の空き時間を数えてみる。

 ルーチンが埋まると、空白の時間が視覚化できます。

 24時間もあるなんて思ってしまったけれど、実際自由に使える時間はほんの数時間だったことに気づくでしょう。時間は目に見えないものですから、子どもには特にこうして視覚化することで長さを実感してもらうこと、有限であることをわかってもらうことが大事になります。

拡大する写真・図版イラスト・中島美鈴

 3.to doリストを作り、それぞれの所要時間を見積もる。

学校から送られてきた教材プリントや、問題集、習い事の宿題など、親としてやってほしいことの1カ月分をすべてテーブルに並べます。

 このとき大事なのは、「この問題集のできるところまでとことん進もう」のような、範囲が不明確な提案をしないことです。また「なんかこの学習サイトを暇をみつけて見るのよ」みたいなあいまいな指示もしないことです。代わりに、「問題集の○ページから○ページまで」とか「このサイトのどの教科が興味あるかな?全部でコンテンツが10個あるんだね」と明らかにします。

 親としては、やるべき勉強がすべて終わっても、もっと欲張って勉強をして欲しくなるかもしれませんが、その欲はこの計画の段階で子どもと話し合いながらすべて事前に出し切るべきです。私たちだって、やっと上司に指示されて終えた仕事の直後に、「これもお願いね」って次の仕事を出されてもうんざりしてしまいますよね。

なので、この段階で先出しです。

 そして、その子どもの「空き時間の半分に入るぐらいの分量」を調整することです。これが意外に難しいものです。プリントも問題集もやってみないと所要時間が読めないからです。なので、その場でちょっとさせてみながら、その実測値に基づき、子どもと一緒に 全体の所要時間を計算します。

「10分単位」を磁石で見える化

 to doリストの各項目を10分単位で分けます。100円ショップなどで売っているホワイトボード用の磁石を購入しましょう。できれば教科ごとや学校用や習い事用などで色分けできるとさらにわかりやすいので、数色入りの磁石を買います。その磁石の背の面にto doリストのやることを書いていくのです。器用な方は丸いシールを自作されてもよいでしょう。

 ホワイトボードの1時間区切りに磁石は最大六つのせられます。

60分に10分ほど休憩をいれてもいいでしょう。これで1日あたり「(一例ですが)磁石10個がマックスかな」なんていう目安がつきました。これをもうひとつのホワイトボードに月間カレンダーを貼り付けて(既存のものをプリントアウトしてもよいですし、手書きでもいいでしょう。月間カレンダーホワイトボードと命名します。)磁石をおいていきます。土日にもするのか?など子どもと話し合いますが、あくまで1カ月分のto doリストが、1日最大10個(一例です。年齢や生活スタイルで増減できます)磁石をのせることで、すべての磁石がはりつけられるのか(つまり、その時間でこなせる量なのか)やってみるといいでしょう。この作業過程で、子どもは時間感覚をつかんでいけるでしょう。

拡大する写真・図版イラスト・中島美鈴

 あとは、毎朝、月間カレンダーホワイトボードをみて、その日の磁石を、1日カレンダーホワイトボードに移動させて、「今日はどの時間帯でto doをしようかな」と計画が立てられるといいですね。

 終われば「達成ゾーン」に磁石を移動できて、達成感を味わうこともできます。

 さて、これが一連の流れですが、私たちの人生はto doだけに追われるほど寂しいものではありません。やりたいことwant リストを作る習慣も子どもに教えましょう。次回へ続きます。

中島美鈴

中島美鈴(なかしま・みすず) 臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。