感染症指定医療機関、最大3分の1が浸水恐れ 京大調べ
京都大防災研究所の研究チームは27日、千年に1度の確率で起きるとされる洪水が発生した場合、新型コロナウイルス感染症などの治療にあたる全国372カ所の感染症指定医療機関のうち、約3分の1が浸水被害を受けるとの調査結果を公表した。「水害が増える時期を前に、感染症と水害による複合災害に備えることが必要だ」としている。
感染症指定医療機関は、感染症法に基づいて指定された感染症の患者を受け入れる施設。感染症医療の経験がある医師がおり、治療に対応した特別な設備を備えた病室などがある。研究チームは全国372の感染症指定医療機関について、国土地理院がまとめた各地のハザードマップなどをもとに河川の氾濫(はんらん)による浸水想定を調べた。
その結果、100~200年に1度の確率で起きるとされる規模の洪水では、約4分の1にあたる95カ所で浸水。そのうちの50カ所では最大の深さが2~3メートル以上と想定された。
また、千年に1度の確率で起きるとされる最大想定の洪水では、浸水すると予想されるのは約3分の1の125カ所に増える。99カ所で最大の深さが2~3メートル以上と想定され、約10メートルに及ぶところもある。
東日本を中心に死者・行方不明者が約100人に及んだ昨年の台風19号でも、各地で病院の浸水が報告された。研究チームは「特殊な感染症患者がいる病院の避難は難しいと考えられ、浸水による機能停止は公衆衛生の危機につながる」と指摘。角哲也教授(河川工学)は「各病院は水の浸入ルートを点検し、停電に備えて自家発電機を上層階に置くなど対策をしてほしい」と話している。(小川裕介)
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