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 新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、「本当に戦わなくてはいけない相手は人ではなくウイルスで、ひとりひとりの心の中にある恐怖だ」というメッセージを込めた動画が公開されました。企画した日本赤十字社を取材しました。

 今月21日、日本赤十字社がYouTubeで公開した動画「ウイルスの次にやってくるもの」。アニメーションと音楽に合わせて、こんなメッセージが表示されます。

    ◇

 ウイルスから身を守るためには?

 きちんと手を洗うだけで、感染する確率はぐんと下がる。

 でも、心の中にひそんでいて、流れていかないものがある。

 そいつは、お腹を空かせてるみたいで、暗いニュースや間違った情報を、たくさん食べて、どんどん育って、そして、ささやく。

 先の見えない状況を、「もうみんな助からない」と。

 誰にもまだ分からないことを、「誰かが隠しているのだ」と。

 そいつは、人から人へと広まっていく。

 「あの人が病気になったのは、誰のせい?」

 「ウイルスが広まったのは、あいつのせいだ!」

 「世界がこうなったのは、あいつのせいだ!」

 そいつは、まわりに攻撃をはじめる。

 人と人が傷つけあい、分断が始まる。

 そいつは脅かす。

 「もしも感染していたらどうする?」

 「あんな風に言われたらどうする?」

 みんな、熱があっても、隠すようになる。

 具合が悪くても、元気なふりをするようになる。

 もう誰が感染しているか分からない。

 ウイルスがどんどん広がっていく。

 鏡を見ると、そこに、もう、あなたは、いない。

 そいつの名前は、恐怖

 ウイルスの次にやってくるもの。

 もしかしたら、ウイルスよりも恐ろしいもの。

    ◇

 ここまで表示された後、今度は「わたしたちが恐怖に飲み込まれる前にできること」として、具体的な対処法が描かれています。

 【恐怖に餌を与えない】 ときにはパソコンやスマホを消して、暗いニュースばかりを見すぎるのはやめよう。不確かな情報を、うのみにしないで、立ち止まって考えよう。

 【恐怖のささやきに耳を貸さない】 恐怖は、話を大げさにして、おびえさせる。誰にもまだ分からないことは、誰にもまだ分からないことでしかない。そのままを受け止めよう。

 【恐怖から距離を取る】 非難や差別の根っこに、自分の過剰な防衛本能があることに気づこう。冷静に、客観的に、恐怖を知り、見つめれば、恐怖はうすれていくはずだ。

 【恐怖が嫌がることをする】 恐怖が苦手なものは、笑顔と日常だ。家族や友人と電話して、笑おう。いつものように、きちんと食べて、眠ろう。恐怖は逃げていくだろう。

 そして最後は、こんな言葉で結ばれています。

 「恐怖は、誰の心の中にもいる。だから励ましあおう。応援しあおう。人は、団結すれば、恐怖よりも強く、賢い。恐怖に振り回されずに、正しく知り、正しく恐れて、今日、わたしたちにできることを、それぞれの場所で」

 動画の狙いについて、日本赤十字社広報課の担当者は「不安や差別が自らの感染を隠すことにつながり、感染拡大を引き起こすと考えられています。更なる感染拡大を防ぐために役立てばと企画しました」と説明します。

 新型コロナウイルスは「体の感染症」「心の感染症」「社会の感染症」という三つの顔を持っていて、これらが「負のスパイラル」としてつながることで感染が拡大していく。その流れをわかりやすく伝えるためにアニメーションで表現したそうです。恐怖をテーマにした理由については、こう話します。

 「この感染症の問題のひとつは、嫌悪や差別が感染者や感染が疑われる方など『人』に向かっていくことです。本当に戦わなくてはいけない相手は人ではなく『ウイルス』と、ひとりひとりの心の中にある『恐怖』であり、多くの方々に負のスパイラルを知ってもらおうと考えました」

 動画を監修したのは、日本赤十字社災害医療統括監の丸山嘉一さんと、諏訪赤十字病院臨床心理課長の森光玲雄さん。正確に伝えるべき内容と伝わりやすさの両立について、制作者と何度もディスカッションをしたそうです。

 「人が団結し、励ましあい、応援し合うことにより、心の中にある恐怖を乗り越えることができるということや、ひとりひとりがそれぞれのいる場所で今日、自分にできることに取り組んでいこうということが伝わればと思います」と担当者。

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 動画のURLは以下の通りです。https://youtu.be/rbNuikVDrN4別ウインドウで開きます(若松真平)