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 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、2017年の九州北部豪雨で被災した福岡県朝倉市は、災害時の避難所における1人あたりの収容面積を従来の4・7倍とすることにした。梅雨時期の災害を見据え、密閉された空間で「3密」を避けることが目的だ。

 27日の会議で決めた。避難所運営マニュアルに「新型コロナウイルス感染症対策版」を追加。これまでの避難者1人あたり1・65平方メートルを、7・7平方メートルにした。これで半径1・5メートル以内に他の人がいなくなる。

 さらに、災害に備えて開設する初期避難所を従来の3カ所から6カ所に、各所で運営に携わる職員も2人から3人に増やす。発熱やせきなどがある人専用の部屋や区画の確保や検温もマニュアルに盛り込んだ。

 朝倉市では2017年7月の豪雨で千棟以上が全半壊し、33人が死亡した。18年と19年の夏にも避難指示が出て、避難所がそれぞれ11カ所開設された。その一つ「らくゆう館」には18年に最大時で249人が身を寄せた。

 1人あたりの面積は約3平方メートルあったが、近くの寒水(そうず)地区で飲食店を営む満生(まんしょう)直樹さん(59)は「避難所ではゆっくり横になれないと感じ家族で車中泊した。館内は人いきれでムワッとしていた」と振り返る。

 寒水区長の満生さんは、当時のような状況ではまずいと思い、より多くの避難所の活用や住民の割り振りを市に働きかけようと区長会で提案したばかりという。「市が対応してくれてよかった。でも倍に増やすだけでは足らんかもしれん」

 「3密」を避けるにはさらに避難所を増やさざるを得ない可能性もあるが、職員の確保も難しくなるため、市は、安全な場所に住む親族や知人宅への避難も検討してもらうという。感染の可能性のある避難者への対応もまだ明確ではない。

 市の担当者は「梅雨はまだ先だが、いつ警報級の雨が降るかわからない。地震も起こりうる。未知のことばかりだが、早め早めに手を打ちたい」と話す。

 新型コロナへの対応については、国が都道府県などに災害発生時の避難所での感染対策を検討するよう4月1日に通知を出している。具体的な対応を決めた例について内閣府の担当者は「情報収集の段階で把握はしていない」と話した。(岩田誠司)