光、水、霧を作品に 持続可能性への試み「蔵出し」
千葉恵理子
東京都現代美術館(東京都江東区)の「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展は、アイスランド系デンマーク人作家のオラファー・エリアソンの日本では10年ぶりとなる大規模な個展です。コロナ禍で臨時休館中ですが、環境保護や気候変動の問題に関心を寄せてたエリアソンが、光、水、霧など自然の一部を使って見る人の意識を揺さぶる展覧会「蔵出し」します。
エリアソンは本展を、サステイナブル(持続可能)な方法で展覧会を作るパイロット・プロジェクトと位置づける。
会場に入ってすぐ目に入るのはボールペンのドローイングだ。無数の線による抽象画のようだが、人の手で描かれたものではない。二酸化炭素の排出抑制のため、今回、作品の多くを航空機ではなく鉄道と船で運んだ。ドローイングはその輸送中の揺れを装置を使って紙に記録したものだ。
工夫は輸送だけでない。ガラスの多面体でできた「太陽の中心への探査」は、内部から光が照らされ、特定の光を反射したり、透過させたりするガラスを通して部屋を照らす。太陽と惑星の関係を示すようでもあるこの作品は、美術館の庭に置かれたソーラーパネルからの電力で動く。来場者が暗闇に光で自由に形を描く体験型の作品の光源は、エリアソンがエンジニアと共同開発した携帯式のソーラーライトだ。
これらの作品は様々な分野の…